【クルマ人】トヨタ・パッソを開発したのは…ダイハツ工業チーフエンジニアの正木淳生さん 「軽の知恵をフル活用しました!」

2016.6.4 07:00

 トヨタ自動車が4月に全面改良して発売した小型車「パッソ」に注目が集まっている。8月に完全子会社になるダイハツ工業が企画から生産まで一貫して担い、軽自動車の技術を活用。燃費は1リットルあたり28キロと軽を除くガソリンエンジン車として最高を記録した。タレントのマツコ・デラックスさんを起用したCMも話題のパッソについて、開発を指揮したダイハツ製品企画部エグゼクティブチーフエンジニアの正木淳生氏に聞いた。

 --開発の狙いは

 「軽自動車が国内市場の約4割を占め、小型車の販売は伸び悩んでみる。一方で、普通車でもハイブリッド車(HV)などが低燃費で評価を上げ、小型車は存在価値を問われる状況にあった。新型パッソは燃費を1リットルあたり最高28.0キロまで改善して軽に近づけつつ、小型車の力強い走りを実現した」

 --先代はトヨタと共同開発だったが、生産はダイハツのOEM(相手先ブランドによる生産)供給に切り替わった

 「共同開発ではトヨタが企画やデザインを決め、ダイハツが開発していた。今回はダイハツが企画やデザインから開発、生産まで一貫して手がけている。軽で培った知恵をフル活用した。低燃費のエンジンを独自開発し、車体の外板は『タント』などに導入した樹脂を採用して軽量化にもこだわった」

 --どんな利用者を想定しているか

 「買い物などの街乗りに加え、家族で時折遠出することを想定した。排気量は1リットルと軽よりも余裕がある走りが楽しめる。先代は50代が中心だったが、デザインが違うモデル(モーダ)も用意したので若い男性らにも利用してほしい」

 --自社ブランドとして売る「ブーン」との差別化や、トヨタの世界展開する車種への影響は

 「今後検討していく課題だ。今回のパッソとブーンは完全子会社化が決まる前から企画は進んでいたが、現在のダイハツの最善を尽くした。今後も役割を明確にしたうえで、ダイハツらしさを出していきたい」(会田聡)

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