【ホワイトカラー革命】石橋博史システム科学社長の処方箋

2016.9.16 05:00

 ■生産性向上の阻害要素洗い出し

 ■生産性向上の阻害要素洗い出し

 経済に不透明感が漂う中、企業の競争力を高め、持続的成長の大きな鍵を握るのが生産性向上だ。そのターゲットは製造系から業務系、つまりホワイトカラー層に移りつつある。業務プロセスの把握・分析・改善の独自技法「HIT法」を開発し、多数のクライアントの業務革新で成果を挙げているシステム科学の石橋博史社長が、ホワイトカラーの生産性向上のための処方箋を提言する。

 ◆プロセス改善で成果

 「ホワイトカラーは、元気が一番だ!」-こんな思いがある。経営を推進する「組織三者」(経営者・管理者・担当者)が同一目線で情報を共有化して素早く「こと」に対応していくことが求められている。

 明らかに「こうあるべきだ」とわかっていた時代は「追いつけ追い越せ」を合言葉に先頭に立ったのがホワイトカラーだった。マネジメントの「PDCA」サイクルの「P系業務」(戦略・企画・計画)といった未来に挑戦する業務を担い、知恵と工夫を求められ、先導してきた。

 それは今の時代も同じだが、秒進分歩のスピードを生き抜く企業で次の手を経営に上申し、具現化することができているといえるだろうか。

 最近改善を必要としている企業にアンケートした結果、課題が明らかになった。これらを解消しない限り、ホワイトカラーの活性化はない。ホワイトカラーの革新は「永遠の課題」と言われるが、筆者が手法と支援ツールの開発に挑戦した30年前とニーズが変わっていないことに改めて気づかされた。解消しなければならない方策は次の通りである。

 (1)日常業務管理の改善

 このキーワードの第1位は業務の中断である。改善を必要としている企業の特徴とも言える。この実態はどの階層にも共通で、突然声が掛かり「これやって! あれやって! これコピーして!…」-。相手の状況など構わず、作業が中断される。午前中に30分程度で終わる予定が終わらないといった例は多い。

 この原因は業務の役割と分担があいまい、業務量の公平な分配ができていない、業務が属人的で「見えない」「測れない」「改善できない」で、この解消がまず必要であることを表している。

 (2)情報管理の改善

 このキーワードは、ホワイトカラーにおける、組織三者の情報共有化、リアルに活用できる管理点(プロセス・リスク・改善・スキル目標・チャンピオン工数・ランクなど)が入った電子マニュアル化、「ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)」などなどの「シンプル化」と「対話」である。

 ◆しばしば無管理状態

 この事実はホワイトカラーの「人」と「仕組み」に視点が当たらず、「無管理状態」となっている企業が多いことを表している。

 (3)人材の育成

 このキーワードは多能化OJT(職場内訓練)の推進である。目的は、事業環境から業務の時間量が多かったり少なかったりする、すなわち偏りが常に発生し、非効率な状態である。このため常に「忙しい」という概念に陥っている。この概念をどう解決するかが生産性を左右する。

 次回は、人材育成を通して、画期的解決法を紹介する。

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【プロフィル】石橋博史

 いしばし・ひろし 1962年、矢崎総業に入社。86年システム科学を設立し、現職。トヨタ生産方式や生産工学をもとにした業務革新の実践・支援ツール「HIT法」の開発、導入、コンサルティングを手掛ける。2010年2月、「業務プロセスの可視化法とチャート作成システム」で特許を取得。77歳。東京都出身。

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