外国人IT技術者育成、日本企業に即戦力斡旋 アビタス・三輪豊明社長

2016.11.15 05:00

 IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、ビッグデータの活用などIT関連技術が進化し、市場を拡大している。半面、先端技術に携わるIT技術者不足が深刻化している。経済産業省の調べによると、日本では現在17万人超が不足し、2030年には41万~79万人に拡大すると予測されている。海外資格取得支援スクールなどを運営するアビタスは、外国人IT技術者を育成し、就職を斡旋(あっせん)する事業に参入した。三輪豊明社長は「日本語会話に加えITマネジメントも行えるよう、即戦力として教育している」とIT技術者供給に意欲をみせる。

 --外国人のIT技術者育成事業に参入したいきさつは

 「もともと米国公認会計士(USCPA)の取得支援スクール運営を事業の軸にしていたため、会計に強い人材を多く送り出したのに合わせて会計に特化した人材の紹介・派遣にも取り組んでいる。12年には日本語学校を買収し、中国の日本語学校と提携して生徒の紹介を受けている。人材紹介・派遣業と中国での実績を生かして、日本のIT人材不足を解消するために参入した」

 --中国から着手した

 「漢字文化圏で日系IT関連企業が多く進出し、日本になじみやすいと思われたからだ。まず中国・大連でスタートし、10月から理系の大連理工大学、大連海事大学、大連交通大学で、ITを専攻し日本語検定2級相当の大学生を対象に約100人の応募者を30人に絞り込む選抜を始めた」

 --採用後の流れは

 「内定者は中国で研修を受けてから来年3~4月に来日し、当社の日本語学校、提携する中国系ソフトウエア会社ウィンリッヂのIT教育施設で、ビジネスやITに関連した日本語、ビジネスマナー、プロジェクトマネジメントなどの研修を受講する。研修期間中に日本企業の面接を経て就職が決まる。大学を卒業した後、ビザを申請し18年1月に就業する。企業から紹介料を受け取る」

 --中国人IT技術者のメリットは

 「日本で情報通信業に携わる外国人は約3万6000人。国籍別では中国人が1万9000人を占め、2位の韓国人の約3.5倍と引き離して首位となっている。日本側は中国に拠点を持つ企業が中国語でやり取りできる人材を必要としているため、中国人IT技術者には根強い需要がある。一方、中国人には、日本の高い給与水準が魅力となっている」

 --今後の成長戦略は

 「初年度は30人を募集するが、20年には100人を目標としている。将来はアジア各国からも人材を募りたい。外国人IT人材を紹介する事業者は数多く存在する。当社は後発だが教育機関を持ち、中国語、日本語、高度なIT技能を持つ人材を育成し供給する体制を整えた。こうした事業所は少ない。今後5年をめどに、外国人IT人材紹介事業の売上高3億円の規模に成長させる」

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【プロフィル】三輪豊明

 みわ・とよあき 東北大経卒。1988年大和証券入社。大手通信機器メーカーを経て、95年U.S.エデュケーション・ネットワーク(現アビタス)を設立し、現職。55歳。東京都出身。

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【会社概要】アビタス

 ▽本社=東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー15階

 ▽設立=1995年7月

 ▽資本金=7000万円

 ▽従業員=70人

 ▽事業内容=国際資格の取得支援スクール運営、日本語学校運営、人材紹介・派遣など

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