永谷園「お茶づけ」 約20年ぶりに浮世絵カード復活 抽選に応募殺到

2017.1.7 16:05

 永谷園が約20年ぶりに「お茶づけ」商品に封入を再開した浮世絵の名画カードが話題だ。かつてコレクターを生んだほどのカードの復活とあって歓迎の声があがる。抽選で歌川広重の「東海道五拾三次」が描かれたカード55枚のセットが当たるキャンペーンも復活させたところ応募数は順調に伸びているといい、浮世絵の根強い人気を浮き彫りにした。(中山玲子)

浮世絵ブーム

 名画カードを封入しているのは「さけ茶づけ」や「梅干茶づけ」など5種類の商品で、キャンペーンは今年11月から平成31年1月まで。商品パッケージの応募マーク3枚で1口応募ができ、毎月千人に「東海道五拾三次」のカードセットが当たる。

 すでに11月分の応募を締め切ったが、永谷園広報は「当選枠の千口を大幅に上回る応募を頂いた」と手応えを感じている。

 永谷園が名画カードの復活を決めたのは、世界的に浮世絵への注目が高くなっているからだ。オランダで葛飾北斎のものとみられる作品6点が見つかり、西欧の水彩画の技法が用いられているとの分析が10月に発表された。11月には、すみだ北斎美術館(東京都墨田区)が開館した。

 永谷園は「2020(平成32)年の東京五輪・パラリンピック開催も控え、日本のあらゆる文化が注目されている。日本文化を身近に実感してもらう機会にしてほしい」(広報)と話す。

コレクターも

 名画カードの始まりは、袋の中に商品がすべてそろっていることを確認した上で封入する検印紙。当初無地の紙に判子を押したものだったが、より魅力的なものにしようと昭和40年から紙に名画を印刷し始めた。

 最初に名画カードに選ばれたのが「東海道五拾三次」。歌舞伎の舞台で使用される3色の幕「定式幕(じょうしきまく)」をモチーフとする商品のパッケージデザインに合わせた。

 その後、「富嶽三十六景(葛飾北斎)」や「喜多川歌麿」も加わり、さらに海外シリーズの「ルノワール」、「ゴッホ・ゴーギャン」なども含め全10種類になった。

 名画カードの封入と同時に始めたプレゼントキャンペーンは、毎週2400人に当たるという高い当選率もあって、平成9年までの32年間で累計応募数は約500万口に上った。全種類を集めようとするコレクターも多くいたようだ。

 その後、徐々に応募数が減るなどしてキャンペーンは休止。約20年ぶりの復活を受け同社には「とても懐かしい」と喜びの声が届いているという。

 永谷園のお茶づけ商品は欧米やアジアなど世界で販売されているが、名画カードの封入やプレゼントキャンペーンがあるのは国内販売分のみ。訪日観光客のいいお土産になるかもしれない。

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