「格安スマホ」普及に弾み 携帯大手3社、MVNO向け接続料10~20%値下げ

2017.3.23 06:35

 携帯電話大手3社が、格安スマートフォン事業を展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)向けの2016年度分の接続料を約10~20%値下げすることが22日、関係者への取材でわかった。ソフトバンクが約20%、NTTドコモが約15%、KDDIが約10%それぞれ下げる。これにより、月に1980円程度の格安スマホ事業者の提供する料金も5%程度値下がりするとみられ、総務省も後押しする格安スマホの普及に弾みが付きそうだ。

 関係者によると、2月に改正された総務省令で定められた新算定方式で各社がデータ通信の接続料を算定したところ、16年度は、ドコモが毎秒10メガ(メガは100万)ビット当たり約67万円、KDDIが同約87万円、ソフトバンクが同約94万円になったもようだ。15年度はドコモが同約79万円、KDDIは同約97万円、最も高いソフトバンクは同約117万円だった。16年度の値下げで15年度に1.5倍の差があったソフトバンクとドコモの差は1.4倍まで縮まる見通し。

 今回の携帯大手の値下げによって、MVNO各社が大手に支払う負担が減ることに伴い、MVNOの提供する格安スマホ料金も安くなることが期待される。携帯電話業界関係者は「接続料値下げで月額約2000円の料金は100円程度下がるのでは」と話しており、携帯大手の春の新料金プランに対抗して、4月中に値下げする可能性もある。

 ただ、MVNOはすでに赤字に近い薄利でサービスを提供しているため、接続料の値下げ分がそのまま料金値下げに転嫁されることはなさそうだ。

 2月15日に改正された総務省令は、昨年10~11月に同省が開いた接続料を議論する有識者会議の提言を採用し、携帯事業にほぼ専業のドコモの直近3年間の株価を基に事業リスクを算定して接続料を定めることなどを新算定方式として盛り込んだ。

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