【トップは語る】メドレー 遠隔診療システムの販売好調

2017.4.7 05:00

 □メドレー社長・豊田剛一郎さん(32)

 --なぜ医師から起業家へ転身したのか

 「脳外科医として3年半の職歴を持つが、患者の家族と接して気づいたことは、家族にとっては患者の病名を初めて聞くケースが多いこと。病気のことをよく分からないまま手術の可否の判断を迫られる。十分な理解を得た上で手術、その後の治療に臨むことができれば、患者やその家族はもちろん、医師としてもモチベーション(動機付け)が上がる。そのための仕組みをつくりたいと考えた」

 --オンラインによる病気事典「メドレー」を手掛ける

 「疾患情報や医薬品、最新の治療法といった情報などを、500人以上の医師が監修している。実際に医療機関では患者への説明に、このサイトを活用しているケースも多い。患者自身も病気に関する知識を得られる。2015年8月にはKDDIのセルフ健康チェックサービス『スマホdeドック』」との連携も始めた」

 --このサイトだけで事業を軌道に乗せるのは大変だ

 「バナー広告による収益に加えて、医師のインタビュー記事を有料で載せている。事典としては書ききれない、医療に対する考え方などを紹介している。患者には、セカンドオピニオンを探す手掛かりとして活用してもらっているようだ。黒字化への道は長いが、社会貢献の一つとして続けていく」

 --昨年、販売した遠隔診療システムが好調だ

 「『CLINICS(クリニックス)』はサイト上で診療の予約や問診、決済ができるシステム。後日、処方箋(せん)が郵送され、最寄りの薬局で薬を処方してもらう。既に300以上の医療機関に導入されている。離島や過疎地など、継続的に医療を受けられない社会的課題の解決にも役立つものと考えている」

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【プロフィル】豊田剛一郎

 とよだ・ごういちろう 東大医卒。聖隷浜松病院、NTT東日本関東病院を経て、米チルドレンズ・ホスピタル・オブ・ミシガンに留学し、米国医師免許取得。2013年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。15年2月メドレー代表取締役医師に就任。東京都出身。

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