好業績のシャープ、“液晶一本足”脱却なるか 成長のカギ、別事業の育成に

2018.2.1 06:17

 シャープが31日発表した平成29年4~12月期連結決算。売上高は前年同期比22.7%増の1兆8294億円、本業のもうけを示す営業利益は3.71倍の703億円、最終損益は553億円の黒字(前年同期は411億円の赤字)と増収増益で、4~12月期としては4年ぶりの黒字となった。

 シャープは28年8月に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下となって以降、5四半期連続で営業利益が前年同期を上回った。29年4~12月期でも経営再建を安定軌道に乗せ、成長に切り替わる姿を鮮明にした。

 昨年12月、1年4カ月ぶりに東京証券取引所第1部に復帰した業績急回復の大きな柱は、主力の液晶関連事業だ。中でも、テレビ事業に関しては、売り上げが前年同期から2倍となった。特に中国の販売増が大きく、鴻海グループの販売網を活用して大型を中心にテレビ販売を伸ばしている。

 東南アジアなども堅調だ。昨年秋にはタイの工場でテレビ生産を再開し、東南アジアやインド向けに出荷。韓国メーカーに奪われたシェアの回復を狙う。

 液晶関連事業が売上高の4割以上を占め、主力であることに変わりはない。ただし、これまでの経営危機の最大要因は液晶への過剰投資だった。需要の落ち込みに対し大量の在庫を抱えたことも経営を圧迫した。単純な“一本足経営”にならないよう、液晶の活用分野を広げてリスク分散しながら、別事業の育成も今後のカギとなる。

 シャープは車の電装化で需要が見込まれる車載用液晶に注力する。高精細で省エネ性能が高い「IGZO(イグゾー)」、曲線や曲面に加工できるフリーフォームディスプレーなど技術力を武器に、新分野に売り込みをかける。

 また、家電や電子部品など他事業の拡大に向け重要視しているのが海外展開だ。戴正呉(たいせいご)社長は、事業全体の海外の売上比率について8割以上とすることを掲げている。

 東京都内で31日に記者会見した野村勝明副社長は「まだ8割に届いていない。海外展開をいかに伸ばすかが重要だ」と強調した。

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