【インターネットWatch】フリーランス経済20兆円を突破 ランサーズ推計

2018.4.16 05:00

 ■1人当たり年間報酬186万円

 日本国内におけるフリーランスの人口は1119万人、経済規模は20兆1200億円に上る-。こんな推計結果を、ランサーズ(東京都渋谷区)が発表した。フリーランス人口は2017年の1122万人から横ばいだが、経済規模は18兆4800億円から9%成長した。フリーランスの1人当たり年間報酬額が、平均165万円から186万円へと12%増加したという。

 ◆6人に1人

 マクロミルが2月に実施したオンライン調査の結果を基にランサーズが「フリーランス実態調査2018年版」をまとめた。オンライン調査は、直近1年間に仕事の対価として報酬を得た全国の20~69歳の男女を対象に行われた。有効回答数は3096人、うちフリーランスが1550人。

 これによると、直近1年間に報酬があった人は5986万人で、うちフリーランスが1119万人、非フリーランスが4867万人と推計されている。フリーランスは日本の労働力人口の約6人に1人(17%)の割合であり、20兆円超の経済規模は日本企業が支払った給与総額(200兆円)の1割程度に当たるという。

 なお、この調査におけるフリーランスの定義は、「自由業系フリーワーカー」「自営業系独立オーナー」といった旧来タイプのほか、新時代タイプとする「副業系すきまワーカー」「複業系パラレルワーカー」という“副業フリーランス”も加えた広義のフリーランスを指す。

 フリーランス人口1119万の内訳は、自由業系フリーワーカーが53万人(約5%)、自営業系独立オーナーが322万人(約29%)、副業系すきまワーカーが454万人(約41%)、複業系パラレルワーカーが290万人(約26%)。

 副業フリーランスの職種としては、副業というイメージが強かった接客・作業系が依然として最も多いが、営業・経理・人事などビジネス系の仕事も半数を超えるなど、職種が多様化している。

 また、副業系すきまワーカーは主婦など女性のパート従業員のイメージが強かったが、現在では男性が64%を占めるようになったほか、他の3タイプに比べて20代と30代の若年層が多く半数を占める。

 ◆人脈が57%

 フリーランスの仕事による平均年収は、自営業系独立オーナーが356万円、自由業系フリーワーカーが157万円、複業系パラレルワーカーが154万円、副業系すきまワーカーが74万円。ランサーズによれば、自由業系フリーワーカーと副業系すきまワーカーの生産性が向上しており、昨年比で20%以上伸びている。

 フリーランスが仕事を探す経路(複数回答)は、人脈(知人の紹介含む)が57%、過去・現在の取引先が18%、広告宣伝(ウェブ・SNS)が15%、クラウドソーシングが12%、広告宣伝(雑誌・新聞)が8%、エージェントサービスの利用が6%、シェアリングサービスが2%など。人脈が大半を占めており、特に旧来タイプのフリーランスでこの経路が多い。一方で、クラウドソーシングやシェアリングサービスの割合が増加傾向にあり、特に副業フリーランスにおいてオンライン利用のケースが増えている。

 ただし、オンラインでフリーランスの仕事を見つけて受注し納品したことのある人の割合は15%(推定169万人)にとどまる。

 米国の調査会社が17年7月に行った調査では、米国のフリーランス人口は5730万人で、労働力人口の約3人に1人(35%)。また、仕事を探す経路のオンライン化率についても、米国は59%(推定3380万人)に上っている。

 ランサーズは、日本のフリーランス経済規模の伸びしろはまだあるとする一方で、フリーランスのオンライン化のように、日米で構造的な差がまだ大きい点について課題を解決していく必要があるとしている。(インプレスウオッチ)

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