百貨店、「セルフ父の日」商戦本格化 需要に照準、客層の拡大目指す

2018.6.13 06:08

 17日の「父の日」を前に百貨店などが商戦を本格化させている。母の日に比べて影が薄いだけに、父の日ギフトをお父さん自身が自分へのご褒美として買う“セルフ父の日”現象がじわり拡大。各社はこうした需要を取り込みつつ、父親と家族が一緒に過ごすイベントを仕掛け、父の日の存在感アップに努めるなど知恵を絞った消費喚起作戦を展開する。

 通販サイト「ヤフーショッピング」のネット調査(約3500人対象)では、20~30代男女に父の日にギフトを贈るかを尋ねると55%が「贈らない」と回答。理由として「何がいいか分からない」「面倒」などを挙げた。母の日ほど特別な日として浸透しておらず、「プレゼントしたりする家庭は半数くらいでは」と百貨店関係者も苦い表情だ。

 代わって存在感を増すのが百貨店一押しの父の日ギフトの“自己買い”だ。松屋銀座(東京都中央区)の売り場担当者は「自分へのご褒美として買う男性が目立ってきた」。同店ではそうした需要を当て込んで、お酒などの保冷効果が高い真空二重構造のタンブラー(1万2960円~)や、快眠に欠かせないオーダー枕(2万7000円)など中年男性が好みそうなアイテムを用意した。

 日本橋三越本店(同区)でも「お父さん(オレ)の欲しいモノ、揃(そろ)います。見つけます。」をテーマにベルトや傘などをそろえ自己買いのお父さんに猛アピールしている。

 このほか銀座三越では、普段から距離感のあるお父さんと家族が一緒の時間を過ごす、家族全員参加のパン作り教室の開催など「コト消費」視点の提案も。

 体験型ではほかに、松屋銀座のヘアサロンが男性向けサービスの展開に注力し始めた。父の日に合わせ、頭皮マッサージの「ヘッドスパ」と散髪などのセットコース(初回1万1664円)を売り込んでいる。

 各社に共通する狙いは父の日をきっかけにした男性客の消費喚起だ。メインの女性客だけに依存せず、中高年男性にも来店を促すことで客層の拡大を目指している。(柳原一哉)

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