仮想通貨、投機なら金商法適用も 大和総研研究員・矢作大祐さんに聞く

2018.7.21 06:04

 --代表的な仮想通貨、ビットコインの価格が1ビットコイン=80万円台に回復している

 「20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の金融諮問機関である金融安定理事会(FSB)が仮想通貨のイノベーションを否定するようであれば、利用は限定的になり、投資商品として価格がさらに上昇することは見込めなくなるが、そうでなければ、さらに価格が上がる可能性もある。相場操縦の疑いがあるとされている香港、シンガポールの取引所がどうなるかも注視すべきだ」

 --米国で巨大な機関投資家が仮想通貨分野に進出するとの見方が浮上している

 「米国は仮想通貨を証券取引法に適用しつつある。5月に米国に行ってきたが、法整備が整ってきたことで、投資銀行も含めて参入する見通しなど、市場が前のめりになっている印象を受けた。日本でもセキュリティーが確保できれば参入したいと考える大手金融機関は多い。ただ、上場会社にとっては、流出などの問題が起きれば株価に大きく影響しかねない問題もはらむ」

 --規制のあるべき姿をどうみている

 「決済手段としてみるのならば銀行法、投機とみるならば金融商品取引法(金商法)を適用すべきだ。ただ、外国為替証拠金取引(FX)を金商法に移行した結果、個人投資家の短期売買志向が高まったとされる。長期投資で資産運用を促したい金融庁としては、このあたりも金商法の適用にすぐ踏み切れない理由ではないか」

 --マネーロンダリング(資金洗浄)対策も引き続き課題となっている

 「(個人がスマートフォンのアプリで仮想通貨を保管・管理できる)ウォレット会社も含めて規制をかけるべきだ。銀行口座と同じ役割を果たしてしまうからだ」

【プロフィル】矢作大祐

 やさく・だいすけ 2012年大和総研入社。金融・資本市場調査を担当後、13年財務省に出向、国際金融規制やIMF(国際通貨基金)の金融市場規制、プログラム国(ギリシャ、ウクライナ)を担当。15年から現職。埼玉県出身。

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