【フロントランナー 地域金融】みずほ信託銀行の信託業務支援の取り組み(2)

2018.9.17 05:00

 ■新スキームで地銀も顧客もメリット

 みずほ信託銀行では2011年から、地方銀行の顧客向けに、金銭信託を使った運用商品の提供を開始。この商品の信託代理店契約を通して地方銀行とのコネクションも深まり、「その中で、運用ではなく『管理・承継』への対応に関する相談も増えてきた」と、みずほ信託銀行の森下充弘執行役員・信託フロンティア開発部長は説明する。

 その相談とは高齢顧客の相続預金流出といったリスクへの対策が急務というもの。これを受けて信託フロンティア開発部がまず考えたのが、顧客(委託者兼第一受益者)に相続などが発生した場合に、あらかじめ指定した契約条件に基づき、受取人(第二受益者)へ金銭を交付する遺言代用信託の提供だ。

 この仕組みを使えば、顧客の相続発生時に親族が葬儀用の資金などをスムーズに受け取れるなど、顧客は自分に万一の事態があった際の不安を解消できる。

 ただ、一般的な信託銀行の代理店となり遺言代用信託を取り扱った場合、商品名は信託銀行のもので、契約された資金については地方銀行の顧客の預金口座から信託銀行の信託勘定へ移転することになる。つまり、地方銀行にとっては顧客のニーズを満たせる一方で、信託銀行に次世代の口座が開設され、預金が流れてしまうジレンマが生じる。

 そこで考え出されたのが、信託代理店となる地方銀行にとっても、購入する顧客にとってもメリットがある新しい代理店スキームだ。

 従来型の遺言代用信託の代理店販売と異なる点は大きく分けて2点だ。(1)代理店となる地方銀行のオリジナルの商品名で販売できること(2)地方銀行の口座を使って申し込みが受け付けられる(次世代の預金口座を開設できる)-というものだ。

 受益者となる親族などは受取口座を開設する必要があることから、銀行としても新規預金口座を獲得でき、自然に次世代取引が期待できるという大きなメリットが生まれる。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp

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