仏ベンチャー、「こだわり」市場を開拓 音響機器のデビアレ、日本進出を本格化

2018.9.17 05:58

 フランスの音響機器ベンチャー、デビアレは日本進出を本格化させる。主力商品であるスピーカー「ファントム」を伊勢丹新宿店と東京・二子玉川の蔦屋家電で販売し、機器に対するこだわりの強いオーディオファンに向けた認知度向上と、ブランド力の強化を図る。小型でも高音質であることを武器に、日本のオーディオ市場でトップクラスに成長することを目指す。

 スピーカー「ファントム」は俵型の形状。高さ255ミリ、横幅252ミリ、奥行き342ミリのコンパクトサイズだが、ライブ会場にいるかのような臨場感あふれる圧倒的迫力のある音が再現される。

 日本法人のルカ・フェネック開発マネジャーは「従来のスピーカーで同じ音質を再現しようとすると、20~30倍の大きさで、価格も20倍以上になってしまう」と小型高性能であることをアピールする。

 最大出力1200ワット、同3000ワット、同4500ワットの3種類で、価格はそれぞれ24万9000円、31万9000円、39万9000円。

 デビアレは、2007年にパリで創業。主力であるスピーカーのほか、アンプなどの高級オーディオ製品を製造している。フランス国内をはじめドイツ、英国、米国といった欧米諸国のほか、香港、シンガポール、台湾のアジアでこれまでに6万台を販売した。

 日本は熱心なオーディオファンが多い市場であることから、高性能な自社製品は必ず受け入れられると進出へ強い意欲を持っていたが、「会社として経験を積んでから進出したい」と昨年9月に日本法人を設立して準備を進め、今回満を持しての参入となった。

 ソニーやパナソニックといった大手家電メーカーがひしめく日本市場について、「家電量販店には頼らず、流行に敏感な人が注目する伊勢丹新宿店と蔦屋家電で高機能をアピールしたい」と販路を絞り込んでブランドを確立する。

 購入後のアフターサービスを重視する国内の消費者特性に合わせ、日本語で対応するカスタマーセンターも設ける。

 音楽コンテンツの企画開発を手掛けるエイベックスの加藤信介グループ執行役員は「国内で本格的に販売されるのを楽しみにしていた。日本で音楽を聴く環境を変えるかもしれない」と期待している。

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