お歳暮の配送料、値上げ相次ぐ 百貨店など物流コスト増、企業努力だけでは吸収できず

2018.11.21 07:05

 百貨店など小売り各社が相次いで、お歳暮の配送料の値上げに踏み切った。物流業界の深刻な人手不足で運送費が値上がりしており、各社の企業努力だけでは吸収しきれなくなったためだ。通常は12月初旬以降に集中する配送を、11月などに分散させようとする取り組みも出てきている。

 松屋は今年から平均で送料を4割値上げした。例えば10キログラム以内の品を銀座から首都圏の一部に配送する場合、昨年は324円だった送料が648円に引き上げられた。値上げは25年ぶりで、担当者は「配送業者も百貨店も長年我慢してきたが、耐えきれなくなった」と話す。

 大丸松坂屋百貨店は昨年まで無料や324円だった送料を今年から全国一律で486円に値上げした。配送コストが大幅に増加したことが理由だとしている。

 そごう・西武は昨年のお歳暮シーズンの直前に宅配業者から値上げ要請があった。昨年は準備が間に合わないとして自社で吸収したが、今年のお中元のタイミングで送料を324円から432円に値上げし、お歳暮から648円にした。インターネットからは一定額以上の注文で送料無料にするなど、選択肢を広げる工夫もしている。

 配送時期を分散させる取り組みも進む。イオンは11月20日までに月内配送を指定した客に抽選で4000円相当のカタログギフトを送るキャンペーンを実施。11月限定の商品も用意した。来年以降も行い、3割程度にとどまる11月中の配送を5割まで引き上げる考えだ。送料も見直し、昨年は2500円以上の購入で一部商品の送料を無料にしていたが、通常品で324円、冷蔵・冷凍で540円にした。お中元や母の日、父の日でも配送分散の取り組みを検討しているという。

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