日仏3社首脳が協議 連合維持を確認 運営手法見直しも課題

2018.11.29 21:26

 報酬過少記載事件で前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が逮捕された日産自動車と、仏ルノー、三菱自動車の3社連合のトップは29日、今後の提携のあり方などを協議する会合を開いた。3社は会合後、「各社は引き続きアライアンス(企業連合)の取り組みに全力を注いで参ります」との声明を発表し、企業連合の維持を確認した。

 3社のトップ協議はゴーン容疑者の逮捕後初めて。日産はルノーが主導権を握る連合の運営手法の見直しを目指す一方、ルノーは現状維持を望んでおり、今回の会合では踏み込んだ議論には至らなかったようだ。

 会合は連合の実質的な統括会社でオランダに本部を置く「ルノー日産BV」で開かれた。日産の西川広人社長(65)、ルノーのティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)代理(55)、三菱自の益子修CEO(69)がインターネット中継などで協議した。

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 日産とルノー、三菱自の協議では今後、3社連合の運営手法見直しも課題となりそうだ。これまでは3社の会長と連合の実質的な統括会社のトップを兼務していたゴーン容疑者が事実上、1人で重要事項を決めていたとみられる。実質的な合議制に移行する見通しだが、現在の統括会社トップはルノーのボロレCEO代理が兼任しており、ルノーに有利な状況だ。

 ルノーと日産が50%ずつ出資する統括会社ルノー日産BVは企業連合としての計画を策定。プラットフォーム(車台)やエンジンの共通化などに関して決定するほか、戦略的投資についても両社に提案する。

 BVの意思を決める理事会のメンバーは、ルノーが指名する5人と、日産が指名する5人の計10人。多数決で決めるが、投票が同数の場合はBVのトップが決定権を握るという。トップにはルノーCEOが就くという規定があるとみられ、ルノーの筆頭株主であるフランス政府も、「(3社連合のトップは)ルノー会長が務めるべきだ」(ルメール経済・財務相)と主張している。

 日産は公平な運営手法を求めて、統括会社のあり方や規定の見直しをルノーに求めていく可能性がある。

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