【2019 成長への展望】大和ハウス工業社長・芳井敬一さん(60)

2019.1.10 06:36

 ■新たな中計で海外事業を収益の柱に

 --第5次中期経営計画が2018年度で終わり、19年度からは新たな中計に入る

 「賃貸事業、物流施設などの事業用、そして商業施設という従来の3本柱は変わらない。ここに、海外事業をプラスしていきたい。海外売上高は2700億円に近づき、収益の柱になりつつある。加速させていくべきだと考えている。北米、オーストラリアのような業績が手堅い地域と、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、メキシコ、中東など事業リスクがある新興国の割合が50対50と地域バランスは取れている。住宅、事業施設、アパートの管理など日本で得意としている部分を伸ばしていきたい」

 --国内ではリフォーム事業にも力を入れている

 「リフォームとリノベーションとともに、中古住宅を扱う事業『リブネス』の成長は楽しみにしている。色んな建築部材が登場していて、リフォームも簡単にできるようになっていて、将来的には建物を育む文化になっていくと思う。市場は6兆~7兆円といわれているが、相当上げていきたい。今までは住宅の手直しを提示してきたが、家族に起こるイベントや変化を想定していなかった。子供の成長とともに住み替えやリフォームをイメージしてもらい、子供が家族を持ったときに譲るなどストーリーを示していきたい」

 --10月に消費税増税がある。住宅購入には負担軽減策もあるが、駆け込みから買い控えになりかねない

 「マインドの問題はあり、前倒しの駆け込み購入があると、需要を先食いしたことになり、その落ち込みは戻りにくい。正月に家族が集まり、住宅購入の相談をした後からが勝負だと思っている。住宅生産団体連合会では、住宅エコポイント制度などの施策を国に要望を出してきたが、住宅ローン控除などで消費税増税後も負担が大きく変わらないことを知らせられるようにしないといけない」

 --人手不足への対策は

 「社内では中途採用や(実験的に)高校生の採用も進め、(施工業者の組織である)協力会連合会に向けても支援をしている。後継者向けに経営に関する勉強会とともに、大和ハウス工業が行う事業の方向性を共有してもらっている。信頼関係は厚いと思っている」

 --今年はラグビーW杯が開催される。神戸製鋼所でラガーマンだった芳井社長として思いは

 「昨年末は国際博覧会(万博)の大阪開催が決まった後に、ラグビーの日本選手権で神戸製鋼所が優勝し、関西にとって良いことが続いている。その流れでW杯が開催され、関西経済に活気も出てくるだろう」

【プロフィル】芳井敬一

 よしい・けいいち 1981年中央大文学部卒。神戸製鋼グループを経て、90年大和ハウス工業入社。取締役海外事業部長などを経て2017年11月から現職。大阪府出身。

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