【ぐるなびのチョットぐな話】栄養豊富、ブラジル産食材に注目

2019.3.15 05:00

 平成最後のバレンタインが幕を閉じた。各百貨店などで開かれていた特設催事に足を運ぶと、通路の通行が困難なほどにぎわう会場もあったほど。職場内でチョコレートを配布する「義理チョコ」の習慣を会社として禁止する動きなども話題に上ったが、ここ数年は自分へのごほうび「自分チョコ」として購入する女性客が目立った印象だ。

 松屋銀座で行われた「GINZA Valentine World」には、日本初上陸となるブラジルのパティシエ、ディエゴ・ロザーノ氏のショコラが登場。インスタグラムで約40万人、フェイスブックでは約46万人のフォロワーを有する新進気鋭のスターシェフだ。ショコラティエとしての実力の評価が高いのはもちろんのこと、ブラジル独自の果実類を使い、日本の和菓子や懐石料理のデザート、ヨーロッパの伝統菓子とのコラボレーションに取り組む革新的なスタイルも人気の要因だろう。

 ぐるなび総研が2月15日に駐日ブラジル連邦共和国大使館とぐるなびの3者共同で開催した同氏の特別セミナーでは、ブラジル産食材や日本独自の食文化との相性について解説された。同氏が最も強く勧め、催事での反応が良かったのがアマゾン原産のフルーツ、クプアスだ。独特な香りと酸味を含んだ濃厚な口当たりが特徴的で、食物繊維とビタミンC、ビタミンB類、鉄、葉酸が豊富な上、リラックス成分があるといわれているGABAも含む。日本では知名度は高くないが、現地ではアサイーと並ぶ人気を集めているそうだ。もう一つは、日本では希少なブラジルナッツ。ミネラルが豊富で健康効果が期待でき、ゴロゴロとした大粒の歯応えも好評だった。講演会ではこれらの食材を使ったチョコレートやクッキーといったスイーツが振る舞われ、参加したシェフら約30人の関心を集めた。

 ショコラへの活用が期待される日本食材として、同氏はかんきつ類に着目。生産地にも足を運んだといい、「特にブラッドオレンジやユズは素晴らしい。ブラジルに持ち帰り、さまざまな実験をしてみたい」と意欲をみせた。このほか、抹茶や日本酒の可能性についても言及し、創作意欲をにじませていた。今回の来日の際に行われた和菓子作りでレクチャーを担当した、ようかんの老舗として知られる青柳正家の3代目店主・須永友和さんは「特に寒天の使い方が絶妙。素材に関しては既に職人レベルで、すごく刺激を受けた」と話した。

 地球の真裏、一見すると親和性が薄いように感じるブラジル食材。食文化の違いで区切るのではなく、新たな相性を探求し続けるロザーノ氏の姿勢は、各分野のシェフの刺激になったに違いない。今後は日本国内におけるブラジル食材の活用の動きを注視したい。

 ■ぐるなび

 www.gnavi.co.jp

閉じる