香港IR大手、参入向け地ならし 日本見すえて「30年にCO2排出量ゼロ」へ

2019.4.16 07:30

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の香港大手で、日本市場参入を目指すメルコリゾーツ&エンターテインメントは15日、2030年までに同社施設からの二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする方針を明らかにした。日本で計画するIRも対象となる。IRの主要顧客である富裕層の高い環境意識に対応するほか、環境先進国・日本への参入に向けた地ならしの狙いもある。

 訪日したデニース・チェン上級副社長がフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ明らかにした。チェン氏によれば、エネルギー消費の少ない設備の導入や、太陽光など再生可能エネルギーの導入拡大でCO2排出量を削減するとともに、再生エネ分野への投資を通じて残りの排出量を相殺する。また30年までに埋め立て処理されるゴミもゼロにするという。チェン氏は日本でIRが開設できた場合、映像を映し出せるガラス状の太陽光パネルを建物壁面などに設置することも表明した。

 昨年成立したIR実施法により日本では最大3カ所のIRが開設される予定。大阪府と大阪市はIRについて年間1500万人の来場者数を見込む。メルコは大阪か関東圏での参入を目指している。日本での参入を実現するためには環境対策を強化することが重要な課題になるとみられる。

 メルコは現在、主力のマカオ以外にフィリピン、キプロスでIRを運営・開発している。マカオの2カ所のIRでは現在、合計約1万8000枚の太陽光パネルを設置しているほか、電気自動車の導入、食品ゴミの堆肥化などの独自の環境施策を進めている。

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