はやぶさ2、午前10時過ぎに着地へ JAXA「果敢に挑戦したい」

2019.7.11 06:58

 探査機「はやぶさ2」が11日午前10時過ぎ、小惑星「リュウグウ」の人工クレーターの付近に着地し、世界初となる小惑星の地下の物質採取に挑む。着地は2回目で、これが最後だ。その成否に世界の注目が集まっている。

 相模原市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)では10日午前、責任者の津田雄一プロジェクトマネージャが「いよいよこの日が来ました。非常に重要なマイルストーンですが、だからこそこれまで通り、冷静な判断でやっていきましょう。はやぶさ2にもう一度リュウグウを触らせてあげましょう」とメンバーらに呼びかけたという。

 その後、機体が正常であることを確認し降下開始を決定。約2億5千万キロ離れた機体に向け信号を送り、午前10時46分に通常位置の高度約20キロから降下が始まった。順調に降下を続け、午後11時23分には高度約4キロに迫った。

 計画では11日午前9時40分に高度30メートルに達すると、位置確認のため地上に投下してあった目印をカメラで検知。これを捉えながらさらに降下し、同8・5メートルで水平移動し目標地点の上空に到達する。着地は午前10時5~45分ごろの予定だ。

 目標地点は4月に赤道付近に作製した人工クレーターに近い直径7メートルの平地。クレーター作製の際に飛び散った地下の物質が降り積もっており、機体が接触すると損傷の恐れがある高さ70センチを超える岩もないという。

 2月に1回目の着地に成功し、地表の物質は採取できたとみられている。今回失敗し、機体を損傷して帰還できなければ、1回目の物質すら失ってしまう。JAXA幹部は「慎重運転に切り替え、2回目で難度が上がるなら踏みとどまるべきだ」と強調していた。

 これを受けチームは実施の是非を慎重に検討。事前の降下で着地点周辺の地形を解明し安全なことを確認したほか、作業上の安全性も確かめて着地を決定した。

 JAXAの久保田孝教授は「時間をかけ用意周到に準備し、挑戦できる状況がそろったので果敢に挑戦したい」と話す。その上で「宇宙探査には何が起こるか想像できないこともある。そこも覚悟の上での挑戦だ」と気を引き締める。降下中に異常が生じた場合、自動で着地を中止し上昇することになっている。

 吉川真准教授は「地球に戻ったときに『2回目の着地をやって本当によかった。地下の物質が採れてこんなに科学に役立った』という結果になるよう非常に期待しており、成功させたい」と話す。

 着地前後の管制室の様子は、午前9時半から動画サイト「ユーチューブ」のJAXAのチャンネルで生中継する。産経ニュースも状況を速報する。午後2時から関係者が会見し、結果を説明する予定だ。

閉じる