1億円超受領が2人 関電、金品受領の詳細公表 会長・社長は辞任を否定

2019.10.2 20:46

 関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から多額の金品を受領していた問題で、同社は2日に記者会見を開き、一部受領者の氏名や金品の詳細などを公表した。受領した20人の総額は3億1845万円で、うち2人が金品の総額1億円以上を受け取っていた。岩根茂樹社長は森山氏への便宜供与はなかったとした上で「原因究明や再発防止策に取り組み、経営責任を果たしたい」と述べ、八木誠会長とともに辞任を否定した。

 氏名が公表されたのは岩根氏、八木氏のほかに、豊松秀己元副社長▽森中郁雄副社長▽鈴木聡常務執行役員▽大塚茂樹常務執行役員-ら12人。岩根氏を除く11人は、金品を受け取った時点で原子力事業本部か高浜原発の要職を務めていた。

 受領額が最も高い鈴木氏は、現金や商品券、米ドル、金貨、小判など計1億2367万円を受け取った。豊松氏も計1億1057万円を受領した。全員が受領した金品の一部、計3487万円分は未返却という。

 この問題を受け昨年9月に下された社内処分の内容も明らかにした。八木氏と豊松氏が報酬月額2割を2カ月、岩根氏は2割を1カ月それぞれ返上。鈴木氏は厳重注意にとどめた。

 一方、関電は森山氏への便宜供与を否定。森山氏が資金提供を受けていた地元建設会社「吉田開発」への原発関連工事の発注について、「プロセスや価格は適切だったと調査委員会に評価された」と説明した。

 調査委員会が昨年7~9月に実施した調査の報告書は、企業名などを一部伏せた形で公表された。森山氏については「自身やその家族の身体に危険を及ぼすことを示唆する恫喝(どうかつ)」があったなどと記載。森山氏との関係が続いたことについて、岩根社長は「原発を安定的に運営したいという思いから、森山氏との関係悪化を避けた」と述べた。

 関電は改めて弁護士らによる第三者委員会を設置し、同様の問題がないか、高浜以外の原発や火力発電所など全部門を対象に調査する。今回の調査結果について取締役会に報告しなかったことや非公表とした岩根社長らの対応についても検証し、年内に報告書を取りまとめる。

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