ZHD、SBIと金融提携 選択肢広げる フィンテックを収益の柱へ

2019.10.11 07:20

 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)は10日、SBIホールディングスと金融分野で提携すると発表した。傘下のグループ会社が証券、外国為替証拠金(FX)取引、銀行の各事業で協業し、新規顧客の獲得につなげる。ZHDは提携を通じ、ITと金融を融合したフィンテックをネット広告、電子商取引(EC)に次ぐ成長の柱に育成する考えだ。

 証券分野では月間利用者数1500万人の金融情報サイト「ヤフーファイナンス」のアプリやウェブサイトから、SBI証券の口座開設や売買取引サイトへの送客ができるようにする。

 一方、FX分野では両グループのFX子会社が連携して顧客に競争力がある取引レートを提示できるようにする。銀行分野ではZHD傘下のジャパンネット銀行を通じて、住信SBIネット銀行が取り扱う住宅ローン商品「フラット35」を販売する。

 今後は「ヤフージャパン」のIDでSBIの金融サービスを利用できるようにするほか、人工知能(AI)やブロックチェーン技術を活用した金融サービスでの連携なども模索する。

 10日会見したZHDの川辺健太郎社長は「傘下のさまざまなブランドのユーザーに、なるべく多くの金融サービスの選択肢を提供したい」と語った。

 ヤフーは国内最大のポータルサイトを運営し、ネット広告に強みを持つが、広告事業に次ぐ収益源の確保が課題だ。第2の柱と位置付けるEC事業では9月に衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOの買収を発表。新たな柱に掲げるフィンテック事業でもスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」に注力し、大規模な還元策や利用店舗開拓で顧客数を急速に伸ばしている。

 10月1日には持ち株会社制に移行し、ZHDの傘下にネット広告やEC事業などを手掛ける事業子会社ヤフー、金融事業を束ねる中間持ち株会社をぶら下げた。各事業で迅速な意思決定をできるようにするなど一段の成長に向けた体制整備が着々と進んでいる。

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