「タピる」ブームの影にごみ問題 タピオカドリンク飲み残しで繁華街が知恵絞る

2019.12.16 11:42

 若い女性らに人気の台湾スイーツ「タピオカ」。繁華街を中心に全国で専売店が急増し、タピオカを飲むことを指す“タピる”が今年の流行語大賞にノミネートされるなどブームが続く。ただ、飲み残しや容器のポイ捨てなどごみ問題が深刻化。神戸の中華街・南京町では、容器を返却すれば一部返金するデポジット制の導入案も浮上するなど、各地でさまざまな対策が進む。(木下未希)

 飲み残しが漏れ…

 12月初旬、多くの観光客らでにぎわう神戸市中央区の南京町。至るところに「台湾タピオカ専門店」などと書かれた看板が立ち並び、タピオカの容器を片手に写真を撮る女性客の姿でにぎわっていた。

 南京町には昨年までタピオカ専売店がなかったが、今夏頃から8軒が相次いで出店。若い女性を中心に人気を集める一方、深刻な影を落としているのが、利用客のゴミのマナーだ。週末やイベント後には路地にタピオカ容器が放置され、ごみ箱に飲み残しが捨てられる事態となっている。

 南京町で清掃を担当する生熊清さん(57)は「インスタ映えの写真が目的なのか、飲み残しのごみが目立つ」と頭を抱える。「液体が漏れてゴミ箱や路面が汚れたり、タピオカの粒が足にくっついたりすることも多い。ごみは仕分けも大変なので、飲みきって捨ててほしい」と訴える。

 南京町商店街では、容器のポイ捨てを防ごうと、ごみを購入した店舗に戻すよう、貼り紙や店内アナウンスで周知を徹底している。ただ、タピオカは購入後、飲み歩きをする人が多く、わざわざ店舗に捨てに戻る利用客は少ない。

 同商店街では、容器を店に戻せば、料金を一部返金するデポジット制を導入する声も出ている。商店街関係者は「さまざまな方法でごみ回収を徹底したい」と話す。

 ボランティア巡回

 タピオカのごみ問題は全国の繁華街で対策が進む。

 40以上の提供店がある横浜中華街(横浜市)では、各店にごみ箱を設けるよう促し、早朝の清掃活動を始めた。同じく40以上の店が並ぶ名古屋市の大須商店街では、今夏にマナー向上を図るイベント「大須タピオカサミット」を初開催。秋からはボランティアがごみ袋を持って巡回するなどマナー徹底に努める。

 また、東京でもNPO法人「グリーンバード」(渋谷区)が、同区内に専用ごみ箱を設置。「タピオカミルクティー協会」(港区)は今春から毎月1回、表参道を中心に清掃活動を続け、参加者に無料でタピオカミルクティーを提供するなどしている。

 南京町商店街振興組合の曹英生理事長(62)は「各店舗がごみを回収するような仕組みを作れば、店のイメージアップにもつながる。各店には自治体とも連携するなどし、ごみ問題に真剣に取り組んでほしい」と話している。

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