今年は火星探査機打ち上げラッシュ 生命探し、人類の居住も視野

2020.1.13 06:17

 米国や中国、ロシアなどが今年、計4機の火星探査機を相次ぎ打ち上げる。火星が地球に接近する好機を生かし、生命探しや将来の有人着陸を視野にしのぎを削る。

 火星は太陽から見て地球のすぐ外側を回っている。2年2カ月ごとに地球に接近し、今年は6207万キロまで近づく。接近時に探査機を打ち上げれば飛行距離が短く、燃料を節約できる。

 各国の探査機は7月にも地球を出発し、来年到着する。探査の目玉は生命探しだ。火星にはかつて水が豊富にあったとされ、生命が存在する可能性が指摘されているためだ。

 欧州とロシアは共同で探査車「ロザリンドフランクリン」を打ち上げ、生命の手掛かりとなる有機物や水を調べる。米国も探査車「マーズ2020」を送り込む。7年前から稼働を続ける「キュリオシティー」の後継機で、生命の証拠を本格的に探す。

 米国は2030年代の有人火星着陸を目指しており、大気の主成分である二酸化炭素から酸素を作る実験を行い、遠い将来に人類が暮らす可能性も探る。

 中国は周回機と探査車などで構成する「真容」で初の火星を目指す。生命や大気の調査が目的だが、50年の有人着陸に向けて基礎技術を固める狙いもあるとみられ、成否が注目される。

 アラブ首長国連邦(UAE)は来年の結成50周年を記念して、大気を観測する周回機を日本のH2Aロケットで打ち上げる。機体はアラビア語で希望を意味する「アルアマル」と命名。「2117年に人類初の火星定住」という遠大な目標を掲げ、その第一歩との位置付けだ。

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