【トップは語る】三益 三姉妹で女性が活躍できる酒屋に

2020.1.28 05:00

 三益社長・東海林美保さん(35)

 --JR赤羽駅(東京都北区)から徒歩20分ほどの団地の一角にある「三益酒店」に、全国から人が集まる

 「決して立地もよくないこの酒屋に来てくれるのは地酒と三益そのものが好きなお客さまだと考えたとき、お客さま同士をお酒でつなげる場を提供したいと思った。そこで、物置になっていた隣の角打ちを改装し『三益の隣』としてオープンした。ロゴやグッズも作り、ブログやSNSでお店やお酒の情報を発信した。ブログをきっかけに、今では取引先の酒蔵の方を招いた試飲会を定期的に開けるようになった。喜び、応援してくれるお客さんや酒蔵が増えたことの相乗効果はものすごく強い」

 --今では次女、三女との三姉妹で店を切り盛りする

 「大学卒業後に企業に就職したが、直後に母が病気で入院したのを機に2年弱で退職して実家に戻った。ただ、お酒の知識や経験の乏しい自分の居場所はなかった。そこで、2009年に赤羽駅近くの店舗を借り、次女と一緒に金曜限定で日本酒のバーを開いた。これが三益の隣の原点になった。父が全国の酒造に直接出向き、集めたお酒に関するストーリーをお客さまに届けられれば、お酒の購買にもつながると思った。今では調理師免許を持つ三女が料理やブログを担当してくれており、“姉妹が頑張っている酒屋”として認知されるようになった。10年間の積み重ねが、ようやく芽が出た感じがする」

 --今後の目標は

 「目指すのは“女性が活躍できる酒屋”。女性ならではの発想を生かし、育児中の女性が働きやすく、子供とも楽しめる女性の味方になれる酒屋を作りたい。両親が忙しかった私は地域の人に育てられたと思っている。その恩返しの意味も込めて昨年から毎月、地元子供のための食堂を開いている。子供やお年寄りとも関わりを持つことが、地域に根ざした酒屋の役割だと思っている」

【プロフィル】東海林美保

 しょうじ・みほ 大妻女子大文卒。EH(エクセルヒューマン)を経て、2008年1月に家業の酒店経営「三益」に入社。16年11月から現職(3代目社長)。酒店「三益酒店」、隣接する角打ち「三益の隣」を経営。店内では定期的に子供食堂「きりっこ食堂」やイベントを開催している。東京都出身。

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