【静岡活躍企業】サンロフト 幼保保育のシステムで先生の負担軽減

2020.3.24 18:37

 保育園や幼稚園を対象としたシステムや企業の日報システムなどを開発し、先生たちの負担を軽減できるサービスを提供するサンロフト。(定額制の)サブスクリプションのビジネスモデルへの進化を図るとともに、地域貢献にも力が入る。(那須慎一)

 --なぜ起業したか、また企業理念は

 「東芝勤務時に、『J-3100』というパソコン(PC)が発売になりました。ラップトップコンピューターと呼ばれたこの機種はコンパクトで、大ヒット商品になりました。このPC用のソフトウエアを開発してもらうために、多くのソフトメーカーを訪問する機会に恵まれました。その際に、ソフトメーカーのポテンシャルを実感し、PCビジネスにのめり込んでいきました。父に呼ばれて地元に戻りましたが、PC、ソフトウエアのパワーを地元企業にお届けしたいと考え、『明るく夢のある情報化社会の実現を目指して、テクノロジーを親しみやすく提供する』という理念のもとに起業を決意しました」

 --現在注力している事業内容や主なターゲットは

 「IT業界の変化は速く、起業した頃とは様相が一変しています。クラウドの時代に応じて、自社開発した保育園などの先生たちの負担が軽減できるようなウェブサービスを全国に提供する事業が始まっています。ウェブサービスの全国展開は、業界や用途を絞り込み、特定のお客さまに選ばれ続けることが求められます。月々少額のシステム利用料をいただくモデルになりますので、顧客獲得のためのスピードも大切です。一方で、地元企業のお客さまには、旧来のような省力化のためだけのシステムではなく、営業、マーケティングなどの分野でも幅広くIT活用支援できるよう態勢を整えています」

 --今に至るご苦労や思い

 「今思い返してみても、苦労の連続でした。創業当初は業績も厳しく、私自身は交通費の精算もできない状況でした。ある程度軌道に乗った頃には、私たちの力不足でシステムトラブルを起こし、高額な損害賠償を支払うという苦い経験もしました。ただ、今思い返せば、無駄な経験はひとつもなかったとつくづく思います。“恩人”と呼べるほどのお客さまにも恵まれ、数々の危機をともに乗り越え、信頼できる仲間の存在は、何物にも代えがたい、プライスレスな宝物だと思っています」

 --足元の課題は

 「(定額制の)サブスクリプションモデルの会社への脱皮が挙げられます。具体的には先に述べた自社開発ウェブサービスの利用顧客の拡大を急ぎ、顧客満足度を高めていくことで、月額課金による売り上げを増やしていくことです。当社では保育園、幼稚園、子ども園向けのシステムや企業における日報システムを開発し、全国にサービス提供しています。事業の成長スピードをさらに上げていくことが課題です。サービスの付加価値をできるだけ早期に高め、シェアを拡大していくことで収益基盤の安定を実現すべく、積極的に挑戦していきます」

 --新たに取り組みたい事業や開発案件、ご自身の目標は

 「ハードウエアの販売からネットワーク環境の構築、ウェブサービスやシステムの開発、IT教育や情報セキュリティー対策など、すでに取り組んできた各事業の品質をAI時代に対応させ、真にお客さまに役立てていただけるサービスに育てることが目標です。自社開発のウェブサービスにおいては、『オープンイノベーション』を積極的に展開していきます。パートナー企業と専門性を持ち寄り、利用者の満足を高い次元で満たしていきたいです。地域密着事業は『地域活性化事業』と位置づけ、お客さま企業のIT活用に寄り添いながら地域全体で先進的な情報を共有することで、地域経済の活性化に貢献できるように取り組んでいきます」

■会社概要

所在地:焼津市柳新屋436の1

設立:平成4年4月1日

主な事業内容:ウェブサービスの開発・提供、ウェブサイトの制作・運営支援

従業員数:57人(令和2年2月現在。パート社員含む)

資本金:8900万円(令和2年2月現在)

 まつだ・としたか

・生年月日:昭和33年4月23日

・出身地:焼津市

・最終学歴:立教大経済学部卒

・主な職歴:昭和57年、東京芝浦電気(現・東芝)入社。62年朋電舎入社。平成4年4月にサンロフトを創業、社長に就任。

・主な受賞歴など:会社として15年に「静岡県ホームページグランプリ自治体部門最優秀賞」受賞、30年に女性の活躍を推進する企業である「えるぼし認定段階3(当時最上位)認証」取得。趣味は旅行、読書、ゴルフ。

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