【ハザードマップ】トラベルシリウス/星たる観光

2020.4.9 05:00

 ■コロナ禍直撃 宿泊業に破綻続出

 ▼トラベルシリウス トラベルシリウスは4月1日、岡山地裁に民事再生法の適用を申請した。

 宿泊施設「湯原国際観光ホテル菊之湯」「ゆばらの宿米屋」などを経営するほか、倉吉市から委託を受けた「グリーンスコーレせきがね」などを運営していた。また、国内旅行代理店、貸し切りバス事業、飲食店も併営。2013年にはシリウスリレーションズ(真庭市)を設立し、温浴施設の運営も手掛けていた。この間、ホテル施設を買収するなど、積極的に事業を拡大した。

 宿泊施設や温浴事業の再生コンサルティングも手掛け、地域での注目度は高かったが、相次ぐ買収などで借入金は膨らみ、資金面は不安定に推移していた。18年9月にはシリウスリレーションズが破産を申請し、トラベルシリウスの経営も悪化した。

 今年に入ってからは支払い遅延が発生していたほか、3月には「グリーンスコーレせきがね」の運営業務を停止し、多額の違約金が発生。新型コロナウイルスによる売り上げ減少もあり、民事再生による再建を選択した。

 ▼星たる観光 星たる観光は3月26日までに事業を停止し、津地裁伊勢支部への破産申請を弁護士に一任した。

 2005年に開業した旅館を買収して設立。三重県下で屈指の観光地である志摩市内において、「星たる(ホタル)」の屋号で敷地1500坪、全室露天風呂付の旅館を運営。19年6月期は約1億2000万円の売上高を上げた。

 だが、その後は集客が伸び悩み、旅館を買収した際の借入負担も重荷となっていた。

 今年2月頃からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響から宿泊予約キャンセルが相次ぐなど稼働が落ち込んだ。また、ハイシーズンとなる大型連休を含んだ4月、5月の予約状況も低迷。先行きの見通しがたたず、事業継続を断念した。

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【会社概要】トラベルシリウス

 ▽本社=岡山県真庭市

 ▽設立=1989年9月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=約4億7000万円

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【会社概要】星たる観光

 ▽本社=三重県志摩市

 ▽設立=2014年7月

 ▽資本金=100万円

 ▽負債額=約2億1000万円

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 〈チェックポイント〉

 新型コロナウイルスの影響を受けた企業の経営破綻が続出している。6日までに倒産や破産準備などの関連破綻は、全国で40件発生した。このうち観光旅館やホテルなどの宿泊業が12社に上り、断トツで多い。インバウンド(訪日客)の消失と全国的な外出自粛要請が続き、観光地では宿泊予約キャンセルの嵐が直撃している。最大のかき入れ時のゴールデンウイークの見通しも厳しくなってきた。また、売り上げが立たず休業する宿泊業者も多い。現状は一刻も早くコロナウイルスが終息するのを待つほかないが、今後の支援策など再建のビジョンが示されなければ、事業継続を断念する企業の増加は避けられない。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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