【リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く】明治安田生命保険(2-2)「数学」専門職から営業に転身 現場重視学ぶ

2020.7.20 05:59

 --入社の動機は

 「アクチュアリー(数理業務の専門職)として入社した。数学が好きで大学に入り学んだが、数学(理論)を究めることより、数学を生かして民間企業に行くほうが社会に貢献できると考えた。調べてみると生命保険会社に就職する先輩が多いことに気づき、アクチュアリー試験を受けて合格すると活躍できると考えチャレンジした」

 「ただ試験は苦労した。6科目あるが、論文試験以外は一発で合格したものの、論文試験には5回挑戦、合格するのに6年かかった。当時は教科書や参考書がなく、論文問題も『考察して経営に提言する』といった内容で、数学好きには難しかった。おかげで文章に強くなった」

 --その後は営業の現場に転じた

 「アクチュアリーとして13年間職務に従事した後、手を挙げて営業現場に出た。分野の変更は今では珍しくないが、当時は初めてだった。アクチュアリーとして働くうちに『何か世界が違う』と感じ、アクチュアリーのみでは無力感を覚えるようになった。何か提案しても『現場を知らないのに文句だけいう』と疎んじられるようになり、現場に行けば説得力が出ると思った。行くと違う世界が見えた。会社のイメージも変わり、面白い世界を実感した。周囲から最初、『どうせ腰掛け。数年でアクチュアリーに戻る』と思われ、それが嫌で一生懸命取り組んだ」

 --当時の思い出は

 「先輩の幹部営業職員から『われわれの背中を見るのではなく、お客さまと営業職員の真ん中に立って、私たちを指導してほしい』といわれた。経営の原点を教わった感じで、マネジメントの基本としている。つまり現場、現実を重視する考え方だ」

 「今でも独りよがりになっていないかが一番気になり、顧客・従業員満足度を重視し、現場に月に2回程度足を運ぶ。従業員が上を向いて、ニコニコと好意的に迎えてくれると分かるとうれしい。今はコロナ禍で4カ月間、現場に行っていないが8月から再開したい」

 --座右の銘は

 「『有情活理』。論理的な思考が要求されるアクチュアリーと、情の要素もある営業現場を経験し、『理』と『情』が混ざり合う保険業界の中で『人の可能性』を探ってきた。人は理詰めだけで動かないのも事実。一方で、ちゃんとした論理、筋道という『理』がしっかりしていなければ人の『情』は動かないと考えている。これらの経験や考えから座右の銘としている」

 --趣味は

 「温泉と鉄道。『乗り鉄』というより『ちょい鉄』で、電車に乗って温泉に行くことが好きだ。最近は出張で電車に乗っていくのが唯一の楽しみ。競馬好きもカミングアウトした」

 --「みんなの健活プロジェクト」に従業員も取り組んできた

 「全従業員のうち約70%が前年水準以上の健康診断結果となるなど一定の成果を確認できた。中でも当社の健康課題であるBMIと血圧が大きく改善した。2019年度は、当社独自のウオーキングアプリの開発・活用や、毎朝『みんなの健活体操 with Jリーグ』を実施するなど健康増進への意識向上、健康増進に向けた行動変化を重視した『健康づくり』の取り組みを推進した結果だ」

 「私も自分の健康状態を知ることが大切だと考え、毎日の体重測定を日課としている。19年8月末から禁煙して体重が3~4キロ増加したため食事をコントロールしている。また月に2、3回スポーツジムに通い、ウオーキングとスポーツマッサージを継続し、健康づくりへの取り組みを続けている」

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