2020.9.29 11:22
東京大学発人工知能(AI)ベンチャーのエルピクセル(東京都千代田区)は、胸部X線画像から、肺の内部のできものなどによる「肺結節」を効率的に検出するAIソフトウエアを開発したと発表した。瞬時に見分けが難しい微小な肺結節だが、このソフトを使えば、画像の見落としによる医療ミスを防ぐことに役立つ。
既に厚生労働大臣による医療機器製造販売承認を取得しており、販売を開始。X線画像では、空気は黒く、骨や筋肉、血液などは白く写る。通常は黒く写る場所が白く見える部分を結節影と呼び、肺がんや肺炎、肺結核などが疑われる。ただ微小な結節影を目視で見つけることは難しく、医師による見落としのリスクが指摘されていた。
このソフトは国際的な医療画像規格「DICOM(ダイコム)」に準拠しており、X線撮影装置などから画像データを取り込み、パソコンやタブレット端末で確認できる。X線写真と違って、画像の拡大もできる。
日本放射線科専門医会によると、X線やMRI(磁気共鳴画像装置)などで撮影した画像から疾患の兆候を見抜く放射線診断専門医と放射線治療専門医は合わせて約6800人しかいない。見抜くには非常に高い技量と経験、集中力が必要とされる。