残されたスズキ、最大の課題は軽・二輪の電動化

2021.2.24 21:02

 スズキの鈴木修会長が24日、退任を表明した。残されたスズキが「100年に1度の変革期」を迎える自動車業界を生き残るための最大の課題は、電動化だ。得意とする軽自動車や二輪車は電動化が遅れており、トヨタ自動車との提携強化も鍵となりそうだ。

 24日にオンライン会見した鈴木会長は、令和7年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画の策定が退任のきっかけだと強調。ろれつが回らない口調だったものの、「昨年はゴルフを47回やった。ピンピン生きている」と述べ、健康問題は否定した。

 鈴木会長の大きな功績の一つとして、税率の低い軽自動車の需要をうまく取り込み、軽自動車市場で確固たる地位を確保した点が挙げられる。

 軽自動車は、手頃な価格やコンパクトさなどで人気を集める。しかし、電動化すると、そうした強みが失われる恐れもある。

 電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動化技術の開発にはコストがかかるうえ、大容量の電池も必要だ。

 軽自動車は、HV技術が搭載されていても、燃費改善効果が少ない「マイルドハイブリッド」と呼ばれる簡易式しかない状況だ。

 本格的なHV技術「ストロングハイブリッド」の導入について、鈴木俊宏社長は自社開発にこだわり、「適切な時期に全車種に導入していく」と説明。EVでも、トヨタからの助言を受けながら、部品の共通化などでコストダウンを図る考えも示した。

 令和17(2035)年に国内新車販売からガソリン車をなくす菅義偉政権の目標の対象に二輪車が含まれるどうかは、今後の検討課題とされている。鈴木社長は東南アジア市場にEVスクーターを投入したい考えを示す一方で、「消費者の動向を見ながら対応していきたい」と述べた。(宇野貴文)

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