【トップは語る】信託協会 ESGに取り組む企業に資金回す

2021.4.27 06:00

信託協会会長 高倉透さん(59)

 --4月1日付で会長に就任した

 「高齢化、ESG投資、(新型コロナウイルス禍を踏まえた)ニューノーマル(新常態)に取り組んでいく。社会や経済が変動する中で、信託銀行ならではの受託者精神を発揮して、顧客や社会に安心をお届けしたい」

 --認知症の問題にどう貢献していくか

 「団塊の世代が75歳ぐらいに差し掛かっている。認知症になる前に相続などについて意思決定しておく場合とそうではない場合で、周りへの影響が違ってくるし、自身の思いを実現できることを知って、相談が増えている。協会としても各行の取り組みをサポートしていく」

 --持続可能な社会につながる資金の流れ「サステナブルファイナンス」を強化していく

 「ESGに取り組む企業に資金が回っていくように手助けをしていく。気候変動問題など経済のひずみが起きている。外部不経済の抑制に取り組まないと、経済成長が立ち行かなくなる」

 --コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が6月に改訂される

 「われわれは機関投資家として、企業統治の取り組みを投資先と一緒に考える立場だ。東京証券取引所の株式市場再編をにらんだ企業からの相談も増えている。社外取締役が増えていく中で取締役会の実効性をどう高めていくかなど、多岐にわたった相談が来ている」

 --インターネットで動画を配信する「バーチャル株主総会」を広げていく上での課題は

 「それぞれの企業の株主に合った方法を試行錯誤しながらブラッシュアップしている局面だ。信託銀行としていくつかのメニューをそろえて支援していく必要はある。コロナ禍でバーチャル総会を何らかの形で取り入れることを考えている企業は増えている」

【プロフィル】高倉透 たかくら・とおる 東大法卒。1984年住友信託銀行(現三井住友信託銀行)。取締役専務執行役員などを経て、21年4月から三井住友トラスト・ホールディングス社長。信託協会会長兼任。大阪府出身。

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