【高論卓説】任天堂・コロプラの特許問題 迎え撃つ“カウンター”に注目
任天堂は2017年12月22日、コロプラに対し特許権侵害を理由として「白猫プロジェクト」の配信などの差し止めと、44億円の損害賠償を求めて提訴した。各紙でも大きく報じられたので注目している方も多いと思う。一部では、白猫プロジェクトで使われている「ぷにコン」というスマートフォン画面上のユーザーインターフェースを対象としたものではないかといわれている。実際の提訴内容は訴状が公開されないと定かではないが、訴訟の対象を特定しないと論じづらいので「ぷにコン」が対象であると仮定して論を進める。
まず誤解されている方も多いと思うが、本件では「ぷにコン」が任天堂の特許に抵触しているのかどうかが問題となるのであって、コロプラが「ぷにコン」に関する特許を保有しているかどうかは原則として関係がない。特許は独占権ではなく排他権にすぎないのだ。
では、コロプラの保有している特許が無駄かというとそうではない。任天堂のゲームやゲーム機などが、コロプラの保有している特許に抵触していることはあり得るからだ。業界的には、攻めてきている相手方にぶつける特許のことをカウンター特許などと呼んだりするが、特許の訴訟や交渉では、このカウンター特許の存在が重要であるとされている。
果たして、コロプラはカウンター特許を保有しているだろうか。特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で調べてみると、コロプラは10年以降に出願された215件の特許を保有していた。コロプラは08年に設立された会社で、設立当初から特許には力を入れてきた会社であると思われる。
この215件の特許のうち、カウンター特許になるものがあるのかどうかは不明であるが、コロプラとしては探してみるべきであろう。
特許訴訟は最終的に和解で終結することが多いが、その場合でもカウンター特許の有無で支払う金額に多寡が生じることもある。ちなみに12年にレベルファイブがサッカーゲームのイナズマイレブンを対象としてセガから訴えられたとき、レベルファイブは全く特許を保有していなかったのでカウンターが全く打てなかった。
ゲーム業界は、任天堂、セガ、バンナム(バンダイナムコエンターテインメント)、コナミ、スクエニ(スクウェア・エニックス)、ソニーなど古くからのプレーヤーがいる一方で、コロプラやレベルファイブなど最近名前が出てきた新時代のプレーヤーも多数いる。これらの新時代のプレーヤーの売り上げは、古参プレーヤーのそれに劣るものではない。
例えば、白猫プロジェクトの17年の売り上げは149億円ともいわれているし、人気ゲームパズドラ(ガンホー)の同年の売り上げはなんと473億円といわれている。
もっとも、特許についてみてみると、古参のプレーヤーは多数の特許を保有している一方で、新時代のプレーヤーは特許を保有していないか、保有していたとしても古参プレーヤーのそれに比べれば少ないのが一般的だ。コロプラは215件の特許を保有しているが、そこまでの数の特許を保有している会社は珍しいのではないか。
このような状況においては、特許紛争が生じるのは必然といわざるを得ない。本件は非常に高額の特許訴訟であり、行く末が注目される。
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【プロフィル】溝田宗司
みぞた・そうじ 弁護士・弁理士。阪大法科大学院修了。2002年日立製作所入社。知的財産部で知財業務全般に従事。11年に内田・鮫島法律事務所に入所し、数多くの知財訴訟を担当した。17年1月、溝田・関法律事務所を設立。知財関係のコラム・論文を多数執筆している。41歳。大阪府出身。
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