仮想通貨業界、流出後もトラブル続出 「0円販売」金融庁が問題視、顧客対応も不適切
仮想通貨交換業者のコインチェック(東京)で1月に不正流出が発生して以降も、一部の業者ではトラブルが続発していた。売買が一時停止される事態も発生し、仮想通貨の信頼性をさらに損なった。仮想通貨業界は成長を続けられるかどうか、瀬戸際に立っている。
あり得ない取引
交換業者大手のテックビューロ(大阪市)は8日、システムのリスク管理態勢が不十分で、顧客対応の態勢も不適切として金融庁から業務改善命令を受けた。
特に問題とされたのが、2月16日夕の大規模トラブルだ。運営する仮想通貨交換所「ザイフ」でビットコインが0円で販売され、7人が購入。うち1人は21億枚(約2200兆円分)も購入したのだ。ビットコインの発行上限は2100万枚で、本来ならあり得ない事態だが、取引は成立。その後、ザイフでは一時、取引できない状態になった。
テックビューロは4日後の20日にようやくウェブサイト上でトラブルを認め、おわびを掲載。トラブルへの対処は「システム異常による訂正扱い」とし、0円での購入者の取引を取り消して残高を修正した。
もしもビットコインを0円で取得した利用者が安値で売りに出し、大量の売買が成立すれば、ビットコイン相場が暴落して大混乱を招いた恐れもあった。
経営陣の対策不十分
とはいえ、ニッセイ基礎研究所の佐久間誠研究員は「仮想通貨の実態は投資商品になっており、交換所の取引を業者が取り消すようなことは本来はよくない。(金融庁の)規制が仮想通貨の現実に追いついていない」と指摘。早急な対応策を求める。
一方、テックビューロでは1月にも、不正アクセスを受け仮想通貨が不正に出金されるトラブルがあった。さらに、顧客がログインや決済をしづらくなるなどシステム関連のトラブルをたびたび起こしていた。
にもかかわらず、解決への取り組みは不十分だった。金融庁は2月からの立ち入り検査の結果、経営陣が根本原因を十分分析せずに、再発防止を講じていないと断じた。
トラブル公表しないケースも
銀行や証券会社は、システムトラブルなどが起これば金融庁に報告し、広く公表される。仮想通貨交換業者も法令では、トラブルは直ちに金融庁へ報告しなければならない。
ただトラブルの内容や程度は定められておらず、実際には影響が軽微なら報告不要とみなされてきた。
仮想通貨交換業者から利用者への情報公開も、法令に規定がない。このためトラブルを利用者へ積極的に伝えず、ウェブサイトやSNSへの掲載で済ませたり、公表しなかったりするケースもみられる。
テックビューロでは問い合わせへの返答に長期間を要したり、返答しなかったりしていたという。同社は産経新聞の取材に対し「顧客の急増で、人員やシステムの対応が不十分だった」と認めた。
テックビューロを所管する近畿財務局は「顧客保護の観点から、きちんと対応することが望まれる」とし、テックビューロの担当者は「指摘されたリスク対策を早急に整備する」と話している。
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