【スポーツi.】東京五輪新種目の3人制バスケに注目
□フリーランスプランナー・今昌司
3on3(スリー・オン・スリー)。かつて3人制でハーフコートで行われるバスケットボールをこう呼んでいた。3on3を試合形式で大会として開催したのは、恐らく、私が最初ではなかったか、と思う。発端は、1990年頃に、米ESPNの映像を使ってアメリカのスポーツシーンを紹介する週1回のテレビ番組の制作に関係していたことに始まる。
91年に日本で大会
ある時ニュース映像で、街のメインストリートに無数の簡易式バスケットゴールを並べて多くの人々がバスケットに興じていた姿を見た。競技大会ではない。正に、フェスティバル。バスケットを楽しむ数多くの老若男女がそこにはいた。
これは一体なんだ。元月刊バスケットボール誌編集長の島本和彦氏に調べていただくと、これは3on3というもので、アメリカ各地で大規模な大会が開催されている、ということが分かった。これを日本でできないか。島本氏のご尽力もあり、簡易式のバスケットゴール機材をアメリカから取り寄せ、ルールを作り、コート作りの方法も独自に策定して、91年夏、神戸ポートピアランドの広場で、ついに第1回目となる大会を開催した。参加は24チーム、約100人。しかし、心配していた参加申し込みは、その数倍にもおよび、当日は参加者のみならず、家族や友人たちが多数訪れ、会場は大いに盛り上がった。
コートの周りはピクニック場と化した。そして、スポーツがこんなにも楽しいものだと感じたのは、恐らく初めてではなかったか、と思う。当時は、マンガ「スラムダンク」がヒットし、NBA(米プロバスケットボール協会)の公式戦が開催され、ファッションにおいてもアメリカのプロスポーツグッズがタウンをにぎわし、バスケットボールシューズが一大ブームを巻き起こしていた。
その後、原宿に専用施設がオープンし、数多くの3on3イベントが全国各地で開催されるようになり、テレビ番組も放送されるなど、3on3は大きなムーブメントになった。いま考えると、バスケットボールというスポーツが、日本国内であれほど注目されたのは、一昨年にBリーグが開幕するまで全くなかった、と言っていいだろう。名称は「3×3(スリー・バイ・スリー)」となったが、まさか、オリンピック種目になろうとは。
私にとっては、正に、夢物語である。国際オリンピック委員会(IOC)は、近年、夏季・冬季を問わず、若者層へのアピール力の高い競技を正式競技として採用し、オリンピック大会に若者たちの注目を集めることに躍起である。先日、広島でアーバンスポーツの世界的な大会が開催されたとき、会場には多くの若者が集まり熱狂する姿を見せていたことも、IOCが求めようとする姿なのかもしれない。しかし、平昌五輪でも問われたように、スポーツが持つ本質を逸脱した競技の遂行のみを考えた運営には、些(いささ)かの懸念もある。
楽しいからこそ価値
若者が求めるのは、競技としての厳正な姿や強いものが勝つだけの勝利至上主義でもない。自由さや楽しさが体感できること。そもそも、する人にも、見る人にも、スポーツは楽しいからこそ、そこに価値が生まれ、その価値は、時には人の生き方にまで及ぶのである。バレーボール競技にビーチバレー種目が加わったことと同じように、3×3は、バスケットボールファンのみならず、多くの人々に新しいスポーツの楽しみ方を教えてくれるのかもしれない。そこには、従来のバスケットボールとは異なる魅力があり、自由なスタイルがあり、そして何よりもプレーすることが楽しいと思わせる雰囲気があってほしい。決して、競技としての枠組みだけでくくられることがないようにしてほしいと思う。スポーツとは、楽しいからこそ、スポーツなのである。オリンピックとて、忘れてはならない。
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【プロフィル】今昌司
こん・まさし 専修大法卒。広告会社各社で営業やスポーツ事業を担当。伊藤忠商事、ナイキジャパンを経て、2002年からフリーランスで国際スポーツ大会の運営計画設計、運営実務のほか、スポーツマーケティング企画業に従事。16年から亜細亜大経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師も務める。
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