【地球を掴め国土を守れ】技研製作所の51年(23)サイレントパイラー海外へ

 
サイレントパイラー開発から16年後、オランダに欧州法人を設置

 無振動・無騒音の杭(くい)打ち機「サイレントパイラー」が初めて海外販売されたのは誕生から11年後の昭和61年だった。相手はスウェーデンの大手建設会社で、ストックホルム中央駅の工事に使える工法を探していた。

 海外販売のきっかけとなったのは、当時の西ドイツで開催された国際建設機械見本市「BAUMA」への出展だった。

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 サイレントパイラーを開発した高知技研コンサルタント(技研製作所の前身)の社長、北村精男(あきお)は、創業から同機開発までの8年間、基礎工事を請け負う立場で杭打ち機の振動・騒音と悪戦苦闘し、無公害の杭打ち機を探し求め、国内外に足を運んでいた。

 その結果、「世界中のどこにも無公害の杭打ち機はない」との結論に至った北村は、自らサイレントパイラー開発に乗り出したとき、すでに国際市場への進出を視野に入れていた。

 「(地中の抵抗力を利用して杭を押し込む)圧入原理はどこにでも受け入れられるはず」と、北村は開発のパートナーの垣内保夫(株式会社垣内の創業者)と海外視察を繰り返した。

 「BAUMA」への初出展は1983(昭和58)年。振動と騒音、さらに煙と油をまき散らす当時主流の杭打ち機よりはるかにコンパクトな杭打ち機が、振動も衝撃音もなく、スーッと静かに杭を地中に押し込んでいく様子は、欧州の建設工事関係者にとって驚き以外何ものでもなかった。

 さっそく、基礎工事の要請が舞い込んだ。西ドイツの市街地、そして翌年はインド洋モーリシャスの港の改修工事だった。

 そして86年の見本市で、スウェーデンの大手建設会社へサイレントパイラーを販売。さらに、89年の見本市の後には英国からの受注が舞い込むことになる。

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 技研製作所は順調な業績を背景に、90年にロンドンに海外事務所第1号を開設。翌91年には、事務所と工場をもつ欧州法人をオランダに置いた。

 北村は「オランダは(干拓により)海の底にできた国で土質が軟らかく、水や土砂をせき止める必要性も大いにある。市場性は高い」と踏んでいた。

 一方で、海外での業務展開には、日本とは比べものにならないほど多様な地盤との「格闘」や、圧入工法を現地の工事関係者へ伝達する言葉の壁など、想像を超える困難さが現実となっていくのである。

=敬称略

 首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。