あまりに痛恨…TOKIO山口元メンバーの余計な一言 謝罪の目的は「許しを得る」ことにあらず

 
「TOKIO」の山口達也元メンバー(46)の起訴猶予処分を受けて、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長が発表したお詫びのコメント

【ニッポンの謝罪道】 昨今の謝罪でその行く末が注目されているのは日本大学のアメフット部元監督・内田正人氏率いる日大チームが、不必要なタックルで関西学院大学の選手をケガさせた件にあるだろう。そんな状況にありながらも、ここで取り上げたいのは元TOKIOメンバー・山口達也の謝罪についてである。謝罪道において、実に重要かつ根源的な示唆をこの件は備えているのだ。

◆厳しくしなくては示しがつかなくなった

 4月25日、番組で共演した女子高生に対し、強制わいせつの容疑で書類送検されていたことが明らかになった。翌26日に山口は涙ながらに会見をしたが、その際に余計な一言を山口は述べた。

 「またTOKIOとしてやっていけたら……」

 これに対しては直後から「被害者のことをまず考えろ」や「ハァ????」といった感想がネットでは多数出た。

 そして5月2日、山口を除くTOKIOの4人が会見をしたが、国分太一は「そんな甘えた言葉は山口からは聞きたくなかったです」と述べ、松岡昌宏は「彼の甘ったれたあの意見は、いったいどこから生まれるものなのだろうか」「甘えの根源が僕らTOKIOだったとしたのなら、あくまでこれは自分の意見ですが、そんなTOKIOは1日も早くなくした方がいい」と述べた。

 恐らく国分も松岡もこんなことは言いたくなかっただろう。だが、ここまで厳しくしなくては、示しがつかなかった。その後山口はジャニーズ事務所から契約解除となり、「またTOKIOとしてやっていけたら……」はもう叶わぬ思いになった。

◆心のどこかにあった「甘え」とは

 さて、冒頭で述べた「根源的な示唆」とは何か。それは、「謝罪をする時は『許してもらおう』という気持ちを出してはならない」ということである。

 もしかしたら心のどこかで「ファンはオレの復帰を後押ししてくれるはず」「(人気テレビ番組の)『ザ!鉄腕!DASH!!』で欠かせないパワー系人材であるオレを外すことは日本テレビだって本意ではないだろう」といったこれまでの実績から来る自信に加え、「つーか、こんだけの高収入を失うのはイヤだ」という自分の長い人生設計も意識したかもしれない。さらには「まぁ、大丈夫だろう。狩野英孝だって未成年と淫行したけど復帰できたしね」といった気持ちもあったかもしれない。

 これこそが国分や松岡が言う「甘え」であり、「またTOKIOとしてやっていけたら……」という短い発言は、山口の言葉を聞く人々に上記で挙げたような推測を想起させてしまうのである。

 これまでに数々の謝罪会見があったが、意外に思われるかもしれないが私が「名謝罪」だと思ったのが「ゲス不倫」で知られる元衆議院議員・宮崎謙介氏の謝罪である。妻の金子恵美衆議院議員(当時)が出産間近というタイミングで、元グラドル女性を地元の自宅に連れ込んでいた件を週刊文春にスクープされ、議員辞職した。その時はとにかく反省の弁を述べ、いきなり辞めた。

 小渕優子氏が過去に政治資金をめぐる疑惑が報じられ、ハードディスクをドリルで壊して「ドリル優子」やら「ドリル姫」といったあだ名をつけられ大臣辞職。しかし議員辞職をすることはなく雲隠れをし、1年経ってようやく地元で謝罪をした件と比べたら宮崎氏の潔さは際立った。しかも大臣による政治資金の問題と一兵卒議員の下半身スキャンダルでは重みが違う。

◆宮崎氏は「出直し宣言」で踏みとどまった

 会見時の宮崎氏はまっすぐ前を見て、許しを請うことはせず、あくまでも自らの愚行を詫びることに徹した。メディアが会見の様子は詳報しているが、質疑応答に移る前の最後の部分を引用する。

 「一から出直し、いつの日かまた私の理想と実現したい政治を追い求めることができる資格を与えていただけるように出直して参りたい。すべての皆さまに、そして妻と子に対し、深く深くおわびを申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」(産経ニュースより)

 ここでも「いずれは復帰を」という思いを感じるが、山口の「またTOKIOとしてやっていけたら……」という言葉と比較し、「資格を与えていただけるように出直していきたい」はあくまでも「世間様が、支援者様が私をお許しくださり、そして再び政治の世界に帰ってこれる空気になるまで反省をしつつ初心に返って生きていきます」という出直し宣言になっている。

もしも「次の衆議院選挙で戻れるよう……」と言ったのだとすれば、山口の時と同様に未練タラタラかつ反省の色なし、と捉えられたことだろう。

 宮崎氏は誰かに許してもらおう、手を差し伸べてもらおう、と考えることなく謝罪をしたからこそ、現在はテレビに金子氏と一緒に出るなどし、少しずつ評判を高めつつある。山口はそうした手順を素っ飛ばし、元々いた特権の椅子に戻ろうという下心を見せた。それはひとえに「許して欲しい」という気持ちを見せたからである。

 謝罪の目的は「許しを得る」ことではなく、「謝罪の気持ちを伝える」「反省の色を見せる」である。「許しを得る」はあくまでもその謝罪の内容と態度、そしてその後の行動を見た相手(ないしは世間)が決めるものなのだ。今回の山口の失敗は一般人にとっても参考になるものであろう。

【プロフィル】中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ニッポンの謝罪道】はネットニュース編集者の中川淳一郎さんが、話題を呼んだ謝罪会見や企業の謝罪文などを「日本の謝罪道」に基づき評論するコラムです。更新は原則第4水曜日。

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