債権者集会も異例ずくめの「はれのひ」 トップが今度は海外に雲隠れ?

 
多くの報道陣が詰めかけた「はれのひ」の債権者集会会場=20日

 破産開始決定を受けた「はれのひ」(横浜市、篠崎洋一郎社長)の債権者集会が6月20日、横浜市内で開かれた。成人式を台無しにされた新成人や親族、取引業者など約70人が参加した。(東京商工リサーチ特別レポート)

◆資産の70倍近い負債抱え

 会場には多くのマスコミが駆けつけ、事件から半年を過ぎても関心の高さをみせつけた。横浜地裁から破産開始決定を受けた1月26日の会見を最後に、公の場に姿を見せていない“主役”の篠崎社長は欠席した。債権者からは篠崎社長の無責任な態度に憤りの声が多く聞かれた。

 負債は10億8500万円に対し、資産は1620万円にとどまる。滞納税金、未払い給与などの優先債権1億400万円だけでも資産を上回る。

 破産管財人の増田尚弁護士は、「店舗で保管されていた着物の返還はほぼ終わったが、会社の資産が乏しく、債権者への配当は難しい」と見通しを語った。

 来年以降のレンタル契約者については、購入者を特定できない着物などを買い取った「装いの道」(東京都千代田区)が契約者に無料で貸し出す方針という。

 被害者の一人は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「付属品の返却はないが、着物は戻ってきた。今さらこれ以上は望まない」とあきらめたように話した。

 篠崎社長の負債は、銀行借入などの保証債務だけで約4億円に及ぶとされるが、個人破産は申請していない。

◆てるみくらぶの社長は出席

 債権者集会では、社長が債権者の意見や質問に答えることもある。社長が集会を欠席するのは異例で、社長自ら騒動の顛末を語ることを期待して全国各地から集まる被害者や債権者は納得できないだろう。

 多くの被害者を巻き込んだ「てるみくらぶ」(東京都)の山田千賀子社長も、債権者集会に出席し被害者の前で質疑に対応した。涙を流した姿は記憶に新しい。

 債権者集会の前から篠崎社長は海外に滞在しているとの情報があり、連絡もつかないことから集会への出席が注目されていた。増田弁護士はTSRの取材に対し、「債権者集会に社長が不在でも破産手続きに影響しない。だが、もし社長が欠席すれば異例の事態だ」とコメントしていた。

 篠崎社長は謝罪会見では連絡が取れなかった理由を問われ、「知人のところにいた。隠れるつもりはなかった」との弁明に終始した。

 篠崎社長が身を隠す理由は知る由もないが、このまま逃げていても被害者の心は晴れない。

 《東京商工リサーチ特別レポート》大手信用調査会社の東京商工リサーチが、「いますぐ役立つ最新ビジネス情報」として、注目の業界や企業をテーマに取材し独自の視点に立った分析をまとめた特別レポート。随時掲載します。

▼東京商工リサーチ特別レポートのアーカイブはこちら