落書き、嵯峨嵐山の竹林など京都の名所で深刻 立ち入り禁止区域に侵入、問われる観光マナー
歴史的で風情ある景観や寺社を抱える京都。京都市を訪れた観光客数が平成28年まで3年連続で5500万人を突破するなど好調な裏側で、観光客のマナー違反が深刻だ。最近、嵯峨嵐山の竹林で落書きされた100本以上の竹が見つかったが、寺社などでは立ち入りや写真撮影が禁止されている区域へ入り、撮影したりする行為も後を絶たない。施設側は看板設置など対策に追われており、「モラルを持って観光してほしい」と呼びかけている。
日本語も外国語も
「嵐山の竹が泣いています…」。5月初旬、京都市右京区の竹林の管理法人が、刃物で文字が刻まれた青竹の写真とともにフェイスブックに投稿した書き込みが、反響を呼んだ。
竹林は、風光明媚な景観が楽しめるとして嵯峨嵐山地域でも人気のスポット。着物姿で写真を撮ったり人力車で散策したりする観光客でにぎわう。
竹林を所有する京都市や管理法人によると、落書きは今年2月ごろから増え始めた。観光客が増加する時期の4月に急増。100本以上で確認された。アルファベットや中国語、ハングルなど外国語が多いが、日本語もある。京都市の担当者は「自分も記念に書いていいのかな、と罪の意識が薄くなってやったのでは」とため息をつく。
間近で竹を見られるよう整備された散策路の入り口には、日本語のほか、英語と中国語で落書きやロープを越えて竹林へ侵入することを禁止する看板を掲示していた。落書き判明後、注意を促す貼り紙を増やしたが、市の担当者は「風情ある景観を大事にしているので、目立つ看板はかけられない」とこぼす。
撮影に気を取られ
一方、29年度に来場者数が過去最多の244万人を記録した世界遺産・二条城(京都市中京区)。数年前から、庭園の立ち入り禁止区域や撮影禁止の国宝・二の丸御殿内で撮影する来場者が目立ってきている。
管理事務所は「日本人観光客が違反しないわけではないが、外国人が多い」と困惑。28年に案内標識を一新し、英語、中国語、スペイン語など7カ国語で禁止事項を表示し、二の丸御殿内には、外国語が話せるスタッフを常駐させている。
マナー違反の背景には、注目を集める写真を投稿するSNS(交流サイト)の普及などもあるとみられる。数千本の鳥居が並ぶ光景で有名な伏見稲荷(いなり)大社(同市伏見区)では、参拝しないまま撮影のために一目散に鳥居へ向かう観光客も多い。担当者は「大社は神様が鎮座する神聖な場所。本殿を参拝した後に境内を巡拝するということを理解して」と呼びかける。
「良識ある行動を」
観光客のマナーをめぐっては、京都では過去に、「祇園白川」(同市東山区)で長年続けられてきた夜桜観賞行事が中止になったり、東福寺(同区)が紅葉シーズンに境内の絶景スポットでの撮影を禁止したりしている。
立教大の梅川智也特任教授(観光学)は「観光客の増加で、自分がやっても見つからないだろうという意識が広がる恐れがある」と指摘。「マナーを守るかどうかは、国籍を問わず観光客の良識ある行動に委ねられる。施設管理者らが貴重な観光資源を大切にしているという姿勢を示すことで、理解を得ることが大切だ」と話している。
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