剛力彩芽の「謝罪力」は出色 恋人の“ZOZO社長”も周囲も手玉に「勝ち組」だ

 
剛力彩芽

【ニッポンの謝罪道】 女優・剛力彩芽が7月に突然インスタグラムで謝罪をし、過去の投稿を全削除した。きっかけは、交際中のアパレル通販・ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社長の前澤友作氏の匂いが感じられる写真を投稿したからである。サッカーのワールドカップロシア(W杯)ロシア大会へ前澤氏とともに特別席で観戦し、しかも使った飛行機は彼のプライベートジェットだったことが報じられ、W杯会場での写真との関連が取沙汰された。

◆「御意見番」和田アキ子も見事

 これが反感を買ったのだ。単なるひがみ根性たっぷりの暇人の揶揄なんてものは放置しておけばいいのに、剛力は反応し、謎の謝罪をした。ただし、その謝罪投稿については若干の違和感があった。同時に掲載された写真がお辞儀をしているものではなく、満面の笑みというわけではないが、笑顔だったのだ。

 その後インスタグラムに投稿された写真と同じ写真を前澤氏がツイッターに公開し、自分で撮影したものだと明かすほか、前澤氏は剛力とのラブラブぶりを公言し続ける。剛力も前澤氏が船の上で寝る様子を投稿したり、自宅からインスタでライブ配信を行いそこに前澤氏も写りこんだ。

 このライブの件は“叩きやすいヤツを叩く”ことに長けた番組『アッコにおまかせ!』(TBS系)でも取り上げられ、和田アキ子はこの話題を取り上げなくても良いのでは、と意見しネットでは賛同の声が相次いだ。

 番組スタッフはこの話題について和田の猛烈なバッシングを期待していたのだろうが、番組スタッフの期待を裏切った和田のこの意見も痛快である。こうして「芸能界の御意見番」が“苦言”を呈する時点で完全にメディアも世間もこのカップル、いや特に剛力の手の平の上で踊らされているのである。

◆剛力の謎の笑顔の意味とは

 現在の状況を考えると、削除宣言・謝罪時の笑顔の意味はなんとなく分かる。あれは謝ろうなんてまったく思っていないのではないか。剛力は日本における「謝罪道」をよく分かっており、「とにかく『型』を守りさえすればとりあえず外野は謝罪を受け入れざるを得ない」を理解していたのである。

 その「型」とは(1)まずは謝る(2)苦言を呈した人を含め他人様に感謝する(3)「けじめ」としての「過去の写真全削除」を宣言し、本当に実行する(4)これからの前向きな決意表明をする、の4点が揃っていたことである。

 騒動を起こしたといっても、別に異物混入で死者が出たり、税金を自分の懐に入れたわけではない。単に恋人と一緒にいた時の楽しげな様子をインスタグラムに公開しただけだ。しかもその恋人はそこには写っていない。芸能人が人気商売とはいえ、別にいい年をした女性が男性と交際しても良いではないか。

 この謝罪風な「型」を見せられたうえでまだ叩いている方々は、自分の惨めさを曝け出すだけなのでもうやらない方がいいんじゃない?

◆自分の有利な方向に話を進めている?

 そんなわけなので、剛力の謝罪は他人を羨んだり揶揄することしか能がない無能な連中をコケにするという意味で見事だったが、もう一つ実にしたたかなのが、どことなく話を自分に有利な方向に進めている点である。

 今の時代、「結婚したら勝ち組」という価値判断は古いものの、資産何千億円の男の妻になればそれはそれは「勝ち組」であろう。しかも自分自身も大金を稼ぐ術を持っている。

 前澤氏の元恋人であるタレント・紗栄子は、プロ野球選手・ダルビッシュ有(カブス)と離婚してから前澤氏と交際し、スタートトゥデイの忘年会に参加することなどはあり、その件が報じられたりはした。だが、当時前澤氏はそこまでおのろけツイートをしていないし、紗栄子も一歩下がった姿勢を見せていた。

 しかし、剛力である。前澤氏を尊敬している旨をアピールし、前澤氏も彼女をとにかくホメまくる。前澤氏は子供を作っても結婚をしないスタイルをこれまで貫き続けているが、剛力の現在の動きはどことなく自分に有利な方向に持っていく布石を次々と打っているというか、「外堀を埋めている」ように見えるのだ。

◆キャリアと人生の幅を広げてみせた

 もしも、このまま結婚をするに至ったのであれば、それは前澤氏のポリシーを変えるに至ったほどの「とんでもなく魅力ある女」としての評価を剛力は得られる。そうでなくても、結婚せず恋人でい続けたら「新しいスタイルの生き方の旗手」「あの前澤さんが別れたくない程の女」的な評価となる。別れたら別れたで剛力の方が評価は高まるだろう。

 なにせ彼女には過去の恋愛遍歴が報じられておらず、これまで何人もの女性と深い関係になっては別れてきた前澤氏と比べた場合に剛力の「純愛性(って、これもアホな言葉だが)」が守られ、前澤氏が非難されこそ剛力には激励の声も出るのである。

 剛力の評価が下がるパターンとして、剛力がハリウッドセレブやアメリカのベンチャー社長と浮気した場合が考えられるが、よくよく考えたらそんな人物をホレさせるという意味で「いい女」としての評価はますます上がる。さらには「悪女」という女優業をするにあたっての新たな一面も獲得して、キャリアにも磨きがかかる。

 そう考えると剛力のインスタ謝罪は見事なやり口だったし、現在は大富豪にしかできぬ数々の体験を他人のカネでさせてもらい、ますます人生の幅を広げている。さらには「外野の余計なバッシング、はいはい、言っとけばいいのよ。やっかみ乙」的な宣言にもなっており、2018年後半開始直後では出色の出来ともいえる謝罪となった。

【プロフィル】中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ニッポンの謝罪道】はネットニュース編集者の中川淳一郎さんが、話題を呼んだ謝罪会見や企業の謝罪文などを「日本の謝罪道」に基づき評論するコラムです。更新は原則第4水曜日。

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