民間宇宙旅行、年内にも実現 米2社先行、高度100キロ超で無重力体験

 
米ブルーオリジンの有人飛行システム「ニューシェパード」のロケット=2016年(同社提供)

 民間宇宙旅行の実現を目指す米宇宙ベンチャー2社が、早ければ今年中に初の有人飛行に挑む意欲を示している。米航空宇宙局(NASA)が民間と進める国際宇宙ステーション向け宇宙船開発がもたつくのとは対照的で、純粋な民間企業による有人飛行が一足先に実現する可能性がある。

 7月に安全性確認

 開発段階で死亡事故も起きており安全確保が大前提だが、お金さえあれば誰でも宇宙に行けるようになるかもしれない。

 順調に進んでいるのが、6人乗りのカプセル型宇宙船で高度100キロ超の宇宙まで垂直上昇する、ブルーオリジン社の有人飛行システム「ニューシェパード」。宇宙船は上空でロケットから分離して自由落下し、パラシュートで地上に戻る。数分間とはいえ、乗客は無重力状態を楽しめる。ロケットは無人着陸させて何度も使う。

 ブルーオリジンは、米インターネット通販大手アマゾン・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が創業。7月の無人試験で安全性を確認したという。順調なら年内に人を乗せた試験飛行を行い、来年にも搭乗者募集を始める可能性がある。料金は1人当たり2000万~3000万円強との観測が出ている。

 翼付きで8人乗り

 民間宇宙旅行のトップランナーと目されながら、2014年に試験飛行中の事故で飛行士が死亡したヴァージンギャラクティックの有人宇宙船「スペースシップ2」は8人乗りで、翼付きだ。

 上空まで飛行機に抱えられて上昇した後、ロケットエンジンを噴射して高度100キロ超に向かう。翼を変形させて大気圏に突入し、飛行機のように滑空して着陸。エンジンを使った超音速飛行を重ねて到達高度を数十キロまで伸ばしている。ヴァージンを率いるリチャード・ブランソン氏は「私も今年末までに宇宙船に乗って宇宙に行くのを望んでいる」と米メディアに話す。

 NASAの支援を受けた米スペースXと米ボーイングによる国際宇宙ステーションへの有人宇宙船は開発が遅れている。高度400キロにあるステーションへの有人飛行は、ロシアの宇宙船が担っている。両社はカプセル型宇宙船を開発中だが、有人飛行は来年以降になりそうだ。

 日本の宇宙ベンチャーでは、スペースウォーカー(東京)が27年に有人飛行を、PDエアロスペース(名古屋市)は23年を目標に宇宙旅行の事業化を目指している。

【用語解説】有人宇宙船

 人を乗せて宇宙と地上の間などを行き来する宇宙機。大気圏を通過して地上に帰還する際に乗員を高熱からどうやって守るかが重要な技術課題で、さまざまなタイプがある。米アポロ宇宙船やロシアのソユーズ宇宙船は、シンプルな耐熱構造によるカプセル型。翼と胴体の下部で大気を受け止めながら下降し、滑空して着陸する米スペースシャトルのような有翼型もある。ブルーオリジンは実績のあるカプセル型を採用。ヴァージンギャラクティックはシャトルとは設計が異なる有翼型を採用している。