中央省庁の障害者雇用水増し問題、27機関で3460人を不正に算入 最多は国税庁

 
国税庁=東京都千代田区霞が関(桐原正道撮影)

 中央省庁が雇用する障害者数を水増ししていた問題で、政府は28日、関係閣僚会議(議長・菅義偉官房長官)を開き、昨年6月時点で雇用していたと報告した6867.5人(短時間労働者は0.5人分と計算)のうち、国のガイドライン(指針)に反して不正に算入していた人数が3460人に上ったと公表した。最多は国税庁の1022.5人。水増しは地方自治体にも広がっており、政府は全国調査を指示した。

 菅氏は会議で「障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進める立場として、あってはならない問題だ」と述べた。

 調査によると、33の中央行政機関のうち、内閣法制局、警察庁、金融庁、海上保安庁、原子力規制委員会、個人情報保護委員会以外の、27機関で水増しがあった。

 最多の国税庁は1411.5人と報告していたが、実際は389人だった。次いで、国土交通省(水増し603.5人)、法務省(同539.5人)、防衛省(同315人)、財務省(同170人)の順。全体で2.49%としていた実際の雇用率も1.19%に大幅に減った。外務省や財務省など17機関で雇用率は0%台に落ち込んだ。

 障害者雇用は、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持つ人や児童相談所などで知的障害者と判定された人が対象となり、指針では「手帳等の確認」を示している。しかし多くの機関で、手帳交付に至らない比較的障害の程度が軽い職員などを算入していた。

 国や自治体は模範となるべく、法定雇用率を、民間企業より0.3%高い2.5%(3月末まで2.3%)に設定。水増しにより26機関が法定雇用率を満たしていなかった。

 各省庁からは「指針を知らなかった」「手帳の確認は原則との通知があり、確認しなくてもよいと思った」との声があり、指針の周知不足が背景にある。

 政府は関係閣僚会議の下に、中央省庁の官房長ら幹部で構成する連絡会議を設置し、10月の臨時国会までに再発防止策をとりまとめる。