費用は「粗大」並み…ごみ屋敷防止へ 自治体のサポート体制、整備進む
高齢になると粗大ごみはもちろん、日常のごみ出しも大変というケースが出てくる。最悪の場合は「ごみ屋敷」となり、近隣に迷惑をかけることにもなりかねない。各自治体では、高齢者らのごみ出しをサポートする体制の整備が進んでいる。
費用は「粗大」並み
埼玉県所沢市。高齢者や障害者に2003年から「粗大ごみ訪問運び出し収集」を行っている。市職員が自宅を訪問して、隣人や民生委員ら第三者の立ち会いのもとで屋外に運び出す。年に50~70件ほどの利用がある。
この日の依頼者は市内の一軒家で暮らす60代後半の加藤ゆかりさん(仮名)。夫を亡くし、子供も独立。使わない物が増えた。将来、家を処分することになるかもしれず、室内を片付けておく必要があると思ったそうだ。
知らない業者に家の中に入られるのは防犯上の不安が先に立つ。そんなとき、市の広報誌でこの制度があることを知った。「行政なら安心ですし、助かりました」と加藤さん。
作業を行うのは6人の市職員。廃棄する家財を確認して作業開始。この日は小雨が降っていたが、職員は雨ガッパを着て、ベッド、机、椅子、コタツ、食器棚などを次々に運び出していく。家の2階からもなんなく運び降ろして、作業は10分ほどで終了した。費用は通常の粗大ごみ処理の相当額だけで済む。
加藤さんは今後も片付けを進めていくという。「また依頼していいですか」と職員に確認していた。
安否確認の意味も
所沢市では、粗大ごみばかりでなく、一般ごみを集積所に出すのが困難な人のために、「ふれあい収集」というサービスも実施している。
週に1度、市職員が自宅まで訪問して玄関先でごみを収集する。「要支援2」以上が対象だ。利用者の安否確認の意味もあるという。
初年度は173世帯だった利用者は年々増えており、16年度末段階では579世帯が利用している。市の人口は約34万人。うち高齢者は約9万人。市では相当数のニーズがあるとみている。
類似のサービスは各地の自治体でも整備されつつある。
環境省所管の国立環境研究所では17年に自治体の取り組み事例などを調査した。
まとめによると、政令指定市の8割、中核市・特例区の7割、市の3割、町村の1割で、類似制度が設けられている。
地方に比べて、家族による「自助」や地域の「共助」が機能しにくい大都市ほど、サービスへのニーズが高いことが数字になって表れているようだ。
同研究所では、高齢者になると体力の低下や認知症などが原因で「ごみ出しができなくなる」「不適切なごみ出しをする」「無理にごみ出しを続ける」といった状態になる可能性があると指摘。サポート体制の構築を考える自治体向けに、先進事例などの情報提供をしている。
自分の住む自治体に制度があるのか、ないのか。一度、問い合わせてみてはいかがだろう。(『終活読本ソナエ』2018年春号から)
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