【高論卓説】未来開くデジタル技術の発展 画像解析、地球規模の課題解決を期待
デジタル技術の発展はとどまるところを知らない。なかでも画像解析技術には目を見張るものがある。映像や画像の解像度が上がり、それに人工知能(AI)やビッグデータ解析の技術を組み合わせることで、適用できる領域が大きく広がった。そして、これらの技術によって、社会問題や地球規模の課題を解決することが期待される。
ドローンは自動飛行が可能な無人飛行機であり、数年前に米アマゾン・コムが配達サービスの実験を開始したことで注目を集めた。最近は、農業分野でも欠かせない存在になりつつある。農薬散布だけでなく、作物の発育状況や害獣を取り付けたカメラで監視できる。ヘリコプターなどに比べて安価であることに加え、農業従事者を支援することで農業の生産性向上に寄与する。
大規模施設の点検作業にも転用できる。工場設備をはじめ、道路や橋梁(きょうりょう)などを撮影し、劣化状況の点検調査や、壊れた個所の状況確認などに生かすものだ。人間が実際に行くのが難しい場所でも、比較的容易に点検を行うことができる。熊本地震の際には、被害状況の調査に一役買った。
アフリカでは、血液などの医療用品を運搬するために使われ始めた。道路舗装が進んでおらず、地上での運送には時間がかかりすぎる。地上輸送では数週間以上かかっていた搬送時間を数時間に短縮でき、人道支援に貢献する。映像を使うことで、道路状況の確認や違法行為の摘発も可能だ。
米オービタル・インサイトは、衛星やドローン画像の中から地上の物体を認識してカウントする。撮影した画像を時系列に並べて解析することで地上の変化を捉える。作物の生育状況や、災害の被害状況などを確認することができる。
同社の衛星画像の解析は、世界銀行の活動にも貢献している。世銀は、世界各国の貧困度調査を行っているが、現地に赴いて情報を収集するのが難しい危険地域において、家や車の量、建物の高さ、農地面積などを測定し、経済発展指標としてのデータを収集することができる。地球規模での環境保全に役立てているのだ。
自動運転にも高度な画像技術が使われている。車のカメラから路面の状況や障害物、歩行者を検知し、他のさまざまな情報と組み合わせて、安全な運転を可能とする。カメラの性能や情報解析の技術が向上することで、運転の性能はさらに向上する。
自動運転は、高齢者の交通手段の確保や買い物難民への支援が期待される。食料品店が近くになくても買い物に行ける。都会に住んでいれば「配達してもらえばよいではないか」と思うかもしれない。だが、地域によっては運転手が不足しているところもある。見守りサービスなどと組み合わせることもできる。
ここでは映像や画像の解析を使った例を取り上げた。これ以外にも最新のデジタル技術を活用する取り組みは数え切れない。昨今はさまざまな災害や事故が起き、想定外の状況が発生している。国や地球規模の課題解決に向けて、最新のデジタル技術を活用することを期待したい。日本企業はデジタル対策が遅れているとの指摘が多い。目の前の利便性を追求するデジタルサービスも必要だろう。だが、より大きな社会課題にチャレンジすることが未来づくりにつながる。
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【プロフィル】小塚裕史
こづか・ひろし ビジネス・コンサルタント。京都大学大学院工学科修了。野村総合研究所、ブーズ・アンド・カンパニー、マッキンゼー、ベイカレント・コンサルティング取締役を経て同社アドバイザー。主な著書に「デジタル・トランスフォーメーション」。54歳。兵庫県出身。
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