中国企業が半年で撤退通告、和歌山市の「シェアサイクル」存続の危機
複数の場所で自転車を借りたり返したりできる「シェアサイクル」事業で和歌山市が提携し、運営を任せてきた中国企業「ofo(オフォ)」が突然、今月末で撤退すると市側に通告してきた。今年3月のスタート時には尾花正啓市長が自ら自転車に試乗し、アピールしていた肝いり事業。「経営戦略上(の問題)だ」とだけ説明し、半年で撤退を決めた中国企業の対応に市の担当者も戸惑いを隠せず、事業は存続の危機に立たされている。(尾崎豪一)
通告は突然に
「今月末にサービスを終えることになりそうだ」。今月18日、ofo担当者からの突然の一報に市政策調整課の担当者は青ざめた。具体的に尋ねようとしたが、ofo担当者は「本社と話して、また連絡する」と返事を濁された。
24日、今月末でサービスを終了すると市にメールが届いた。理由を尋ねると「経営戦略上(の問題)だ」とだけ説明された。
課によると、それまでも担当者間でやりとりは続けてきたが、市内のシェアサイクル利用状況などはofo側が管理。利用者の個人情報にも関わるため、市側は実績を把握できていなかったのが実状だ。
市幹部は「(撤退に)驚いている。日本で事業が成り立つかという点で、利用状況が悪いとofo側が判断したのだろう」と落胆まじりに推測する。
「経営危機」報道も
今年3月の事業スタート時には、和歌山城を舞台にofoと市の締結式が華々しく開かれた。尾花市長が自ら自転車に試乗し、晴れやかな表情で西の丸広場を数周してアピール。「公共交通と連携してシェアサイクルを活用し、観光地がたくさんある和歌山市を堪能してもらいたい」と利用を呼びかけていた。
この市長肝いり事業は、外国人観光客のニーズに応え、公共交通機関の利用増も期待できると、市が昨年度、事業者誘致に着手。複数の事業者に呼びかけ、今年初めに唯一名乗りを挙げたのが中国企業のofoだった。
ただ、昨年時点で一部海外メディアでは、中国でシェアサイクルの自転車放置が社会問題化しており、業界の競争も激化していると報じられていた。ofoについても今年に入り、資金繰り悪化など「経営危機」が伝えられていた。
市はofoと協定を結ぶ際、市が管理態勢などを指導できる条項を入れていたが、経営状況までは確認できなかった。市幹部は経緯を振り返り、「(市として経営状況を)把握していなかったのではないか」と反省する。
事業継続を模索
ofoは突然の撤退を決めたが、和歌山城をはじめ名勝・和歌の浦など市内33カ所の専用駐輪場に置かれている約120台の自転車の行方は、現時点では決まらないままだ。
この自転車の扱いをはじめ、撤退に伴う利用者への対応などについても市はofoと今後協議を進めていくが、指導する間もなく一方的に撤退通告されたことに、市幹部も「全くの想定外だった。本当に残念」と表情は険しい。
それでも市は、公共交通機関との併用や点在する観光地間の周遊手段としてシェアサイクル事業にかける期待は捨てておらず、今後も別の事業者を探すなどして事業継続の可能性を模索する方針。
ただ、すぐに代わりの事業者を見つけ出すのは難しい中、市幹部は「根本的に事業運営の方針を再検討したい」と話している。
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■シェアサイクル 同じ場所で自転車を借りたり返したりするレンタサイクルと異なり、指定エリア内に複数の専用駐輪場があるため、どこでも借りたり返したりできる。大手のofoではスマートフォンの専用アプリを使い、搭乗可能な自転車や駐輪場所の検索、料金の支払いをする。自転車のQRコードをアプリで読み込めば、ロックが解除されて利用できる。
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