【生かせ!知財ビジネス】日本技術貿易、「イノグラフィ」サービス提供開始
知財コンサルティングサービス大手、日本技術貿易(NGB、東京都港区)は、英知財大手、CPA GLOBAL傘下の米Innography(イノグラフィ、テキサス州)が開発した、知財部門だけでなく企業全体で活用できる知財情報解析ツール「イノグラフィ」について日本での本格的なサービス提供を開始した。
イノグラフィは、知財情報(特許、商標などの公報データなど)と非知財情報(企業、収益、株価、訴訟、その他文献情報など)を1つのソフトウエア画面上で同時に表示し、検索から解析までを可能にした点に特徴があり、知財部門はもとより全社横断的に活用できる。
知財部門では、知財情報に加えて経営や事業の情報が、経営部門や事業部門では経営や事業の情報に加えて知財情報が同時に得られ、異なる情報をひも付けしながらの分析や戦略策定へ向けた検討が可能になる。具体的には、知財戦略や特許ポートフォリオ管理だけでなく、競争戦略や企業投資買収戦略の立案などに活用できる。
近年、大企業の知財部門で利用が急増中のIPランドスケープ(知財・事業情報などのクロス分析)戦略立案のためのツール、あるいは意思疎通が難しかった経営・事業部門と知財部門をつなぐコミュニケーションツールとも言える。日本技術貿易の折田裕二・IP総研所長は「当然知財部門に加え、経営・事業部門への展開も視野に入れている」と企業全体への浸透を目指す。
こうした多様な情報を使いこなすのは難しい。ある大手企業の検索技術者は「一般的に異なる情報には分類方法や同義語の違い、表記の揺れがあり、検索技術者並みの能力が必要だ」とする一方、「全社横断で使い始めれば、課題は徐々に解決し、各層のユーザーの技術も洗練されていく」(都内弁理士)との声もある。いずれにせよ企業側の情報処理能力が問われそうだ。
イノグラフィを担当するIP総研の長谷川雅則マネージャーは「カスタマーサクセスが第一、十分なユーザーサポートをしていきたい」と話す。
世界のイノグラフィユーザーは既に700社・機関を超えており、日本技術貿易では5年後の2023年に日本国内の導入先100社を目標に掲げている。なお、年間利用料は、1ID270万円(税別)からとなっている。(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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