1月発生の青酸カリ脅迫、外国人を装って捜査攪乱か 昨年は粗悪紙、今回は特殊漢字

 

 ■送金期限の22日迫る

 今年1月、東京、大阪、札幌の製薬会社や新聞社など18社に青酸カリ入りの脅迫文が送りつけられた事件で、同一犯とみられる昨年1月の脅迫文で海外製の可能性がある粗悪な紙が使われたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。今回は海外で使われているとみられる特殊な漢字が印字されていることなどから、警視庁は外国人を装って捜査を攪乱(かくらん)する狙いもあるとみて捜査。仮想通貨の送金「期限」とされた22日が迫り、投函(とうかん)された東京・神田の郵便ポスト周辺の防犯カメラの画像解析を進める。

 捜査関係者によると、昨年1月、東京、大阪の製薬会社数社に対して、青酸カリを入れた薬を流通させると脅して金銭を要求する脅迫文が送られた。青酸カリは入っていなかったが、文面などから同一犯とみられ、脅迫文の紙を詳しく調べたところ、粗悪な海外製の可能性が浮上した。

 一方、今年1月に送られた青酸カリ入りの脅迫文はいずれもA4の紙に「青酸カリを入れた薬を流通する。2月22日までに3500万ウォンをビットコインで送りなさい。送らなければ悲劇が起こる」などと印字されていた。さらに、文章の一部には異体字とみられる特殊な漢字も含まれ、捜査関係者は「外国人を装うような表現もあるが、日本語に不自然な点はない」と指摘。捜査攪乱との見方を示す。

 脅迫文は送金期限を示す一方、印字されたQRコードを仮想通貨の専用アプリで読み取っても送金先の口座情報は表示されず、開封時点で送金しようとしてもできない状態だった。

 また、封筒の消印などから脅迫文が1月23日夜~24日午前に神田で投函(とうかん)された可能性が高いことも判明。捜査関係者によると、いずれも1月24日付の「神田」の消印が押され、一部は郵便局で仕分けなどが行われた時間を示す数字が鮮明に残っており、「8-12」と記されていた。

 日本郵便によると、神田郵便局(千代田区)で午前8時から正午までの間に取り扱われ、同局窓口か周辺の約170カ所のポストに前日夜から当日の午前中に投函された可能性が高い。

 警視庁捜査1課は、投函した人物の特定に向け、50人以上の捜査員を投入してポスト周辺の防犯カメラ画像を収集。設置場所が多い上、近くにカメラのない場所ではポストに向かう人物を周辺の複数のカメラで確認する必要があるため、捜査関係者は「画像解析などの作業量は膨大」と話す。