「体質 表れてる」レオパレス中間報告 入居者「すぐの退去迫られた」の声も

 
会見するレオパレス21の蘆田茂執行役員(右)ら=18日午後、東京都中野区(納冨康撮影)

 「補償はどうなるのか」-。18日に公表されたレオパレス21の施工不良問題に関する第三者調査委員会の中間報告。一連の問題では耐火性を高める改修工事のため、7千人超の住民に早期転居を求める事態となっている。問題拡大に同社の対応も追いつかず、入居者やオーナーからは、怒りや不安の声が上がっている。

 憤りあらわ

 「引っ越しを求められても、普段は仕事があり、時間的余裕がない。実際の補償がどうなるのか不安が尽きない」。東京都内の物件に住む30代の男性会社員は憤りをあらわにする。

 先月、同社が新たな施工不良問題を公表してまもなく、男性には経緯を説明する書類が届き、担当者から電話連絡を受けた。その際、改修のため早急な転居が必要だと説明されたが、その後連絡はないという。

 新たに発覚した施工不良では、天井の耐火性に問題がある641棟の7千人超に転居を要請。引っ越しなどに必要となる諸費用を補償するとしていた。同社によると、問題を発表した2月7日以降、今後の対応を説明するポスティングを順次行い、電話で個別に連絡して、転居か一時的な退去を求めたという。

 こうした中、入居者からは「退去を求められ、残りの家賃の支払いを求められた」「転居費用の立て替えをさせられた」「すぐに退去するよう迫られた」などと、苦情が上がっている。これに対し、同社幹部は「期限を切って退去を求めたことは一度もない。顧客のご都合が最優先だ」と釈明する。

 ポスティングされた通知文書では「転居に伴う引っ越し費用は弊社で負担」としながら、立て替えを求められたとされる苦情もあるが、幹部は「絶対にありえない」と強調。電話での個別説明は、各支店に任せたため、混乱が生じたとし、「情報や言葉が足らず、不快な思いをさせたことがあるのは否めない。信頼回復に努めたい」と話す。

 退去進まず

 同社は転居までの家賃については、入居日数に応じて日割りで負担を求めるとしており、入居者の男性は「施工不良はレオパレスの問題。不安がぬぐえない違法建築の部屋に住む料金を取られるのは、釈然としない。外出中も、火災などが起きたらと思うと気が気でない」と語気を強める。

 同社によると、耐火性に問題がある天井を改修する場合、数日間から数週間を要する。同社幹部は「耐火性の問題だけに、速やかに工事したい」とするが、現時点で退去したのは、425人だけだという。

 オーナーらでつくる「レオパレス違法建築被害者の会」(名古屋市)の前田和彦会長は18日、同社の組織的な杜撰(ずさん)さなどを指摘した調査委員会の中間報告を受けて、「会社の体質が表れている」と批判。昨年6月に結成された同会には全国のオーナーら約210人が入会しているが、「子供を住まわせているが大丈夫か」と心配する親からの問い合わせもあるという。