【東京商工リサーチ特別レポート】破綻の貝塚学院で騒動続く 「国内最安」幼稚園で再出発も不安

 
A.L.C.貝塚学院

 認可外幼稚園(幼児教育施設)の「A.L.C.貝塚学院」(以下、貝塚学院)を運営していた(有)アメリカンラングエイジセンター(神奈川県川崎市、以下ALC)が事実上、経営破綻した問題で、支援企業が主催した保護者向け説明会が4月6日、川崎市内で開催された。(東京商工リサーチ特別レポート)

月謝「国内最安」に

 3億円の資金支援を表明しているサン(川崎市)の織戸四郎社長は、自身が貝塚学院の園長に就く意向を示した上で、会計や費用の透明化、業務効率化によるコスト削減を進める方針を明らかにした。

 説明会は6日午前9時半から開かれた。貝塚学院側からは織戸社長のほか、運営担当者、職員2名が出席。冒頭、英語や体操に力を入れてきた貝塚学院の教育方針を堅持すると表明した。

 貝塚学院の担当者は、「料金表があるのかないのか分からない状況」だった利用料金の透明化や、経理処理に会計事務所が関与する体制に改めることを説明した。

 月間2万5000円~2万6000円(送迎バスの利用料などは別)に設定した月額利用料(月謝)については、「この教育でこの利用料は国内最安」(同担当者)との認識を示した。

貝塚学院の不動産担保に不安の声

 ALCは過去の不動産投資などから債務の履行が困難な状態に陥り、3月26日に突然保護者らに事業停止を通告し、社会問題化した。その後、太陽光事業を展開するサンが3億円の資金支援を申し出たことから、一転して事業の継続へと舵を切った。

 しかし、ALCが保有する貝塚学院の不動産には金融機関が合計4億5000万円の根抵当権を設定している。

 6日の説明会では、保護者から「校舎の所有者の変更の可能性があるか」と質問が出た。これに対し、貝塚学院の担当者は「事業をサンが譲渡を受けるタイミングで、この物件も取得する方向で話を進めている。何かトラブルがあったとしてもこの園の存続が不可能になることはない」と断言した。

新入生は「値上げ」も

 約2時間の説明会の後、報道陣の取材に織戸社長が応じた。貝塚学院の不動産担保について、織戸社長は「金融機関からの協力は最大限得られる。まだ(ALCの経営破綻が表面化して)10日なので、法的に確定した回答ではないが、園児を路頭に迷わせてはいけないという点で足並みは揃っている」と述べた。

 また、「国内最安」とする月謝で学院運営の単月黒字化が可能か問われると、「そこも金融機関との調整だが、不可能ではない。ただ、新しく入る方には月謝の適正化、ある程度合理的な金額で入っていただくのが望ましい」と月謝の値上げを示唆した。

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