政府が北海道電力管内の冬の電力不足対策に、数値目標付き節電の導入を決めたのは、今夏に関西電力管内などで成果をあげたためだ。ただ、冬の北海道では暖房や融雪のため一日を通じて大量の電力需要が生じる。冷房を数時間我慢することで達成できた夏とは事情が異なり、節電余地は限定的だ。
「雪まつりの客足も落ち込む事態になれば、北海道経済への打撃は計り知れない」。札幌観光協会の幹部はこう述べ、節電目標への不安を隠せない。沖縄県・尖閣問題の影響で中国からの旅行客は大幅に減少。毎年200万人以上が訪れる「さっぽろ雪まつり」(来年2月5~11日)で巻き返しを狙うが、電力需要は宿泊設備も合わせ7000キロワット増える。節電が集客の足かせになりかねない。
北海道電力は「経済活動に影響しないよう努める」(幹部)というが、観光関連産業は裾野も広く、管内企業との節電に向けた話し合いもこれからだ。
札幌商工会議所が9月下旬に会員企業1963社を対象に行ったアンケート(回答率42.4%)では、今夏の節電にほぼ全ての事業所が取り組み、2010年度比で「7%以上」の節電を達成した企業も26%に及んだ。だが、今冬の節電見通し(昨年比)を「7%以上」としたのは14%で、「0~5%未満」の回答が31%で最も多かった。