受信したA4サイズ2枚分の報告書には、中国・香港の「日本名人株式会社(香港)有限公司」が昨年9月に「紀州」の文字を使って釣り竿や運動用具などの分野で商標出願し、今年8月6日に公告されたことが記されていた。
商標登録されてしまうと、日本の企業が「紀州」の文字を入れて何らかの商品を中国で売った場合、中国の企業から「うちが最初に商標登録していた」として訴訟になりかねない。
こうした事態を防ぐため、和歌山県は平成22年1月から民間企業に委託して中国と台湾を対象に「紀州」や「和歌山」で商標出願をしていないか監視を続けてきた。これまで審査中を含め3件の異議申し立てを行っている。
背景には和歌山県が、農林水産物や食品などの知的財産面での保護強化を目指し、21年に農林水産省が立ち上げた全国組織「農林水産知的財産保護コンソーシアム」の会員だったことがあった。そうしたことから、食品とは直接関係ない分野でも食品流通課が監視を担っていたわけだ。