知財国家戦略宣言から10年がたち、日本企業の意識は変わったのか。いま政策は何をすべきか。みずほ情報総研・経営・ITコンサルティング部の企業向け知財コンサルティング担当、野口博貴チーフコンサルタントに聞いた。(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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大手企業で活発な知財活動を行っている上位1万社の担当部門に、知財戦略の新潮流に関するアンケート調査を実施し、約800社から回答を得た。項目に関心の差はあるものの、過去10年間で経営環境が大きく変わり、企業の知財戦略もまた確実に変化を始めている。
10年間で国際化と情報技術が一気に進展し、世界中を情報が駆け巡るようになった。それらの情報を活用して新興国企業で急速なキャッチアップが始まり、生産、消費ともに市場が拡大、権利形成も活発になった。製品ライフサイクルが短くなり、モジュール化やコモディティ化、オープンイノベーションによる研究開発が進展。NPEs(知財権の活用で収益を上げる企業)による権利行使や知財訴訟も増加した。