早稲田大学は産経新聞社と連携して、2012年度から寄附講座「リーダーシップを経験する」(担当・オープン教育センター 藁谷友紀教授、熊谷善彰教授)を展開してきた。引き続き、13年度も各界のリーダーによる講義を進めていく。フジサンケイビジネスアイは、1年間にわたるこの講座内容を読者に提供していく。
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□経営学者 ボン大学、ベルリン・フンボルト大学教授・ホルスト・アルバッハ氏
■成功するリーダーは社員を信頼する
リーダーシップコンセプトは今日、かつてないほど本や雑誌に取り上げられています。その理由の1つは、際立ったパーソナリティーの起業家(企業家)をクローズアップしたいという関心です。ドイツでも国を代表するような創業者、経営者に関する伝記、専門書がたくさん出され、広く読者の関心を集めています。
2つ目の理由はリーダーシップ心理学の発展です。学者たちがもとにしているのは、1945年から始まったオハイオ研究で、2つのファクターからリーダーのパーソナリティーの特徴をうまく説明しています。2つのファクターとは、コンシデレーション(部下に対する配慮、関心)とイニシエイティング・ストラクチャー(任務に対する関心)で、この2ファクター理論に基づいて、ロバート・R・ブレイクとジェーン・S・ムートン(ともに元・米テキサス大学教授)は縦軸を上司部下の人間関係、横軸を業績重視にした行動グリッドを開発しています。